3・27袴田事件再審決定!巌さん釈放! 
                生きて巌さんを故郷へ!

 

2014年3月27日10時、静岡地裁は袴田事件の再審開始と袴田巌さんの死刑と拘置の停止を決定した。同日5時すぎに袴田巌さんは釈放された。浜松の袴田巌さんを救う会は「生きて巌さんを故郷へ!」と活動してきたが、それが実現することになった。

3月27日、朝から静岡地裁前に袴田事件の再審を求める人々が集まり、マスコミも詰めかけた。9時からは地裁前で集会がもたれ、浜松の救う会の司会で各地の支援グループのメンバーが発言した。ボクシング協会や冤罪事件被害者も発言し、袴田事件の再審を訴えた。

10時、姉のひで子さんと弁護団が地裁に入り、通知を受け取った。弁護士が幕をもって走り、地裁前で、「再審開始」の布を掲げた。歓声が響き、花束が揺れた。袴田巌さんは無実だ!と記した横断幕の前で、ひで子さんが喜びを語った。弁護団長が、再審開始とともに「死刑の停止、拘置の停止も付いている」と説明する。「え!釈放されるかも」と支援者が語り合う。地裁前では再び集会がもたれ、再審決定の概要が示され、支援者が検察の即時抗告を許さない取り組みを訴えた。

横断幕を先頭に支援者が地方検察庁前に移動し、検察は判決を認めろ!即時抗告をするな!とコールをあげた。代表20人余が要請書を持って、検察庁に入る。11時30分から、記者会見がもたれ、判決の概要と活発な質疑がなされた。姉のひで子さんは「巌が出てくるのを待ちたい」「再審開始を伝えたい」と思いを語った。弁護団は、再審開始だけでなく、死刑の執行停止、さらに拘置の停止にも言及した画期的な決定と説明した。また、再審決定・拘置停止の理由に、弁護側のDNA鑑定やみそ漬け実験の結果をふまえ、「捜査機関による証拠の捏造」についてもあげ、無罪の蓋然性について記しているとし、長年の判決をひっくりかえすものとした。そして、今後の方針として、各方面への要請をおこなうこと、検察の即時抗告を止めること、姉が迎えに行く際に引き渡すことなどを求めた。あらたな証拠開示やDNA鑑定の進化が、このような踏み込んだ判断をもたらした。

この記者会見のあと、1時30分から支援による報告集会がもたれ、ひで子さんと弁護士は東京拘置所に向かった。3時、東京拘置所についたひで子さんは巌さんとの面会に成功した。そして5時20分ころ、ひで子さんは巌さんとともに拘置所から車に乗り、拘置所を後にした。地裁の決定うけて、拘置所は釈放を決定したのだった。こうして1966年の逮捕から48年、袴田巌さんは死刑から解放され、自由を得たのだった。

名張事件にみられるような司法の右傾化のなかで、再審決定が出されるかどうか不安だった。だが厚い壁は崩れた。長かったが、多くの人々の行動の積み重ねが、今回の釈放につながった。健康を回復し、故郷に戻り、ゆっくりと時を過ごしてほしい。地裁の決定は、袴田事件が警察による証拠の捏造の疑いがあるというものである。決定では、無罪である可能性が高いなか、捏造されたとみられる証拠による拘置の継続は、「耐え難いほど正義に反する」とした。今回の決定では、権力犯罪の可能性が高いことが示されたのであり、その真相を究明することが求められる。    (T)

 

=袴田事件即時抗告抗議声明=

検察の暴挙に抗議する

2014年3月31日

 静岡地裁による袴田巌さんの再審開始決定に対し、本日静岡地検はあろうことか即時抗告を行った。

公益の代表者として許されざる行為であり、満腔の怒りを持って抗議する。

静岡地裁による再審開始決定は、「捜査機関によりねつ造された疑いのある重要な証拠によって有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきた」と警察による証拠ねつ造の可能性に言及し、「無罪の蓋然性が相当程度あることが明らかになった現在、これ以上、袴田に対する拘置を続けるのは耐え難いほど正義に反する状況にある」として、袴田巌さんは47年7カ月間不当に拘束された獄中から解放された。

これにより袴田巌さんは死の恐怖から解放され、晴れて「一市民」として、1日も早く肉親と当たり前の暮しが出来るようにと、健康回復とリハビリのための療養生活が始まったばかりである。

いま検察官のなすべきは即時抗告を行うことではなく、今回の静岡地裁決定を真摯に受けとめ、二度と再び我が国において冤罪事件を引き起こさないため、警察の見込み捜査、自白強要、証拠ねつ造などえん罪を生み出す構造について厳しく反省をすることである。

「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則と「無辜の救済」という再審の理念に従えば、本日の即時抗告はただちに取り下げ、検察自ら再審への道を開くべきである。

過去の誤った裁判所の判断をはじめ、えん罪や誤判が根絶できない司法の現状を変えていくことこそが検察官に与えられた重要な使命である。

私たちは、第2、第3の袴田巌さんを出してはならないと、証拠開示の公正なルール化や取調べの可視化などさらには、獄中処遇の改善等についても積極的な取り組みをすすめる所存である。

ここに、改めて静岡地検による即時抗告の暴挙に断固抗議する。

 

袴田巌さんは無実だ!再審開始を求める全国実行委員会

<構成団体>

  アムネスティインターナショナル日本

   日本国民救援会

   日本プロボクシング協会袴田巖支援委員会

   袴田巖さんの再審を求める会

   袴田巖さんを救援する静岡県民の会

   袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会

   浜松・袴田巖さんを救う市民の会

   無実の死刑囚・袴田巖さんを救う会