沖縄の旅2014.9 

 4月に続き91日から5日間、辺野古と高江のたたかいに連帯することができたらと沖縄を訪れました。普天間基地(嘉数高台公園)、佐喜眞美術館、嘉手納基地の見学、やちむんの里、平和祈念公園、喜屋武岬にも足を運び、充実した沖縄の日々でした。

 緊迫する辺野古と高江の報告です。

 

〈辺野古〉

 キャンプシュワブのゲート前では、歩道に支柱を立てブルーシートで屋根を張ったテント(毎日片付ける)の下で歌やアピール、シュプレヒコールそしてデモと県外から訪れたたくさんの人たちも交えて抗議行動をくりひろげていました。前を通る車からも手を振ったりクラクションを鳴らしたりして新基地NOの意思表示がされていました。私たちが参加した91日は月曜日でした。基地対策協などの定例の取り組みで毎週月曜日に那覇から大勢がゲート前行動に参加することになっていて、その日は300人もの人々でゲート前行動は盛り上がっていました。

 日本政府は新基地建設反対・阻止の抗議行動を規制するためにキャンプシュワブ沖50mの規制海域を2kmに拡大して立ち入り禁止としました。しかし辺野古の海ではカヌー隊による抗議行動が命がけで取り組まれていました。「海域を規制する法的根拠を示せ」迫られても海上保安庁(以下、海保)は何ら根拠を示すことができず、「示す必要はない」と居直っているということでした。

 唯一、海保が言う規制の理由は『危険回避』と『あんぜんを保つ』ということですが、その実態は200馬力のゴムボートで手漕ぎのカヌーをひっくり返して回っているとのことでした。830日にはカヌー隊による大きな抗議行動があり、20人も拘束されましたが、それでも海保は逮捕することはできず、仲間の抗議で解放されました。これは「刑事特別法」の適用が沖縄の人々の意思表示によって不可能になっていることを示しています。だからこそ抗議行動が必要なのだとゲート前でも報告されていました。

 海保の暴力を写真に撮ったカメラマンの豊里友行さんがゲート前テントで報告しました。「この写真をもとに海保の3人を刑事告発することができたが、海保側は写真を合成だとか、捏造だとかと主張している」「カヌー隊に対して海保のテロ対策班(海保にもそんな役割があるのか?)が投入されており、彼らはカヌー隊をゴムボートに押し上げ、首を絞めて押し倒し暴力的に押え込むなどしている」。その一方では、規制区域内で米兵が何の規制をされずにシュノーケリングを楽しんでいるとのことでした。

 本当にここはどこの国? 政府はどこの国の政府なのでしょう。日本の国がどのようなものであるのか、ここ沖縄ではとてもシンプルかつストレートに見える気がします。この現実を沖縄県外の人々にどのように伝えていくのかを考えずにいられませんでした。

 ともあれ、キャンプシュワブゲート前の座り込み行動はユーモアのある楽しい司会のもと、歌あり三線ありカチャーシーありといかにも沖縄らしい「したたかさ」に元気づけられる行動でした。帰途に就いた私たちがゲート前を通ると、今まで警備に立っていた警備員が会釈したり、「ご苦労さまでした」と言うのです。最前線に立たされ、デモの前で目を伏せたりそらしたりする姿も彼らの苦悩を示していると感じました。生活のため、家族を支えるために意に添わぬ仕事をしなくてもよくなるように願わずにはいられません。

 ゲート前行動のあと、ボーリング調査が行われているという辺野古の海の現場を見に行きました。

 辺野古の浜を二つに切り裂くキャンプシュワブのフェンスには全国から送られた抗議の幕が張られていました。フェンス越しに見えるオレンジ色のブイに囲まれた海の中に調査用の櫓が組まれています。その下では珊瑚が破壊され海が壊されているはずです。遠くには2艘の白い巡視船の姿も見えます。海底の痛みが伝わってきます。日中はこの海でカヌー隊の抗議行動がとりくまれているのだと思い気持ちで眺めました。しかし辺野古の海も浜も相変わらず実に美しく、波打ち際ではかわいいヤドカリたちがとりどりの貝殻を背負って動き回っていました。

 辺野古のゲート前行動には9月1日、2日と参加しました。

 

〈高江〉

 私たちは9月2日高江を訪問しました。高江は今のところ休戦状態です。それでも監視テントには各地から次々と人々が訪れ、現地の話を聞いていました。

 ヘリパット建設に反対する主な理由。

@ 沖縄の水がめ機能を守る。ヤンバルで全沖縄の6割の水を供給している。1年前、宜野座のダムに米軍のヘリが落ちた時、1年ぐらい立ち入り禁止となり土まで持ち出された。高江だったら大変なことになる。また新川ダムの水位が低下したとき、弾薬が出てきたことがある。ヘリパット4N地点のすぐそばには草木が生えない所があり、しっぽが奇形のヤモリも見られた。弾薬は基地への持ち帰りが禁止されているので、ヘリが帰る途中に捨てたと思われる。米軍は何をしているか全くわからない。

A ヤンバルの貴重な自然を破壊させない。テントにはたくさんの動植物の貴重種の写真が掲げられている。

B 米軍の機能強化を阻止する。分散しているヘリパットを海兵隊は高江集落を囲うように配置しなおすと同時にオスプレイの訓練基地として整備しようとしている。又、河口をさかのぼってヘリパットへの物資搬入が可能なようにする基地機能の強化も狙っている。日本政府はフェンスと県道の間の路側帯(テントが張られている場所)を米軍との共用にすることで実質的に住民の立ち入りを禁止し、抗議の監視テントの撤去を画策している。なんと姑息な奴らだろう。

 

それでも高江では豊かな自然に恵まれたヤンバルでの生活を楽しみ、したたかに暮らす人たちがいます。子どもたちもたくさんいます。テントで話すうちに料理の話で盛り上がり、韓国かぼちゃの種を送る約束をしました。穏やかな、そしてささやかな日常を破るものへの怒りこそたたかいを持続させるように思います。この基地がまた他国の人々の日常を、命を奪わないようにするために私たちもできることをしなくてはと思います。           ()