山城博治講演「台湾有事という戦争圧力に抗おう」

 

2022年7月31日、「保有するな!敵地攻撃能力 許すな!南西諸島(琉球弧)の戦場化! 東京集会」がもたれ、山城博治さん(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表)がオンラインで講演した。山城さんは次のように話した。

 

先の参議院議員選挙では、極右の台頭が顕著である。改憲に反対する政党は参議院248人中56議席であり、23%だった。政府は改憲と軍拡の攻勢を強めている。2022年度防衛白書(7月22日閣議報告)では与那国駐屯地を「極めて重要」とした。在沖米軍は「沖縄は戦略的要衝に存在」という。ここでは、沖縄の島々が戦場になることが前提とされている。国民合意を取り付けるための一大プロパガンダが公然化したのだ。台湾有事を口実に無謀にも対中国戦争が準備されている。

 

●「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」結成

昨年、2021年3月の菅・バイデン会談で「台湾の重要性」が確認されたが、以後、洪水のように「台湾有事」「中国脅威論」が流布され、2022年2月ロシアのウクライナ侵攻で一挙に拡散された。その後、日米の外務防衛担当大臣会議(2プラス2)、日米首脳会談が相次いで開催され、日米の連携強化すすめられている。これに対する世論の動きは緩慢だ。  

このなか、2022年1月31日に「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」を結成し、2022年7月15日現在の会員は2200人である。会設立の目的と指針は、日米両政府のプロパガンダに抗して戦争への道に反対する。再び沖縄の島々、南西諸島を戦場にはさせない。南西諸島を戦場にはさせない。そのために、県内外の識者を招いて講演学習会を開催する。会としては、直接行動を行わない。戦争反対の県民世論の形成を目指し、啓発活動を精力的大々的に行う。個人加入方式として団体加入制はとらない。県内外に呼びかける。特定の政治活動(選挙活動、政党活動)は行わない。保革を越えて会への参加を呼びかける。南西諸島との交流・連帯のもと、全域的活動を形成する。日本・台湾・中国・米国等の国際交流を図り、国際的反戦のうねりを形成する、とした。

 

●台湾有事は米国の策略

米国は「台湾有事」に参戦しない。ウクライナでの戦闘を見れば明らかだ。「同盟国でないから」、兵器は送るが、兵は出さない。ウクライナにロシア叩きを仕向けたように、日本をして対中国戦争に向かわす。有事になったら太平洋のはるか後方に退避する。『台湾有事』では、米国は海兵隊による「遠征前進基地作戦」(EABO)をとる。南西諸島の軍事拠点から、島伝いに移動して東シナ海の中国艦船を攻撃するというのだ。だがこの戦争は、自衛隊と住民犠牲の上での戦争となる。

中国側は米軍を寄せ付けないためにミサイル配備をすすめてきたが、米国は中国を敵とし、23年末までに移動式装置での極超音速ミサイル配備を可能にしようとしている。米国の戦争に沖縄・南西諸島が、さらに日本全体が巻き込まれるという状況になっている。「脅威」を煽るだけ煽り、南西諸島・琉球弧を戦場にすることを日本側に強要しておきながら、自らは参戦せず、自衛隊にほぼ丸投げの戦闘をするのである。「台湾有事」は米国の策略である。

日本政府や保守強硬派議員の動きは、米国の恫喝に屈し、日本を破滅の道に導くものである。そもそも台湾問題は中国の国内問題である。中国政府は「台湾当局が独立を明言しなければ侵攻しない」と言明しており、また蔡英文台湾総統も「台湾は中国との統一(一国二制度)を求めないが、独立もしない。現状維持だ」と語り、中国政府と事を構えるつもりがないことを表明している。国際社会の責務は、中国・台湾当局にその順守を求め、その環境を整備することにある。

 

●戦争圧力に抗して

日米の「台湾有事」を名目とする戦争圧力に抗し、平和の裡に台湾問題が解決できること、日中間の領土問題も外交のチャンネルを通じて解決ができる問題であることを訴えることが求められる。

2022年2月、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会・愛媛」が結成、7月、「鹿児島を戦場にさせない県民の会」が結成され、沖縄からも参加した。6月には沖縄で、石原昌家、具志堅高松、宮城晴美、平良啓子を講師に「軍靴高鳴る時代のなかで 沖縄戦の教訓を考える」集会、岡田充(共同通信客員論説委員)を講師に「南西諸島有事を勃発させないために」集会を開催した。全国各地での大小・多数の会の設立を呼び掛けたい。今後は重要土地規制法の学習会や島々シンポジウム、海外ゲスト(台湾)招聘しての集会などを計画している。鹿児島と共同による両県政への要請書の提出なども計画している。

 2015年に結成された沖縄革新運動の柱であるオール沖縄の基本原則は、普天間基地の辺野古移設反対、オスプレイ配備反対、地位協定の抜本的改訂要求の3点でまとまっている。その枠を超えることも課題である。

戦争を惹起させないこと、そのことを住民と一丸となって県政や政府に訴えること、すなわち決して「島々を戦場にさせない」ことを求め実現させていく努力、これこそが自治体の使命であることを訴え続けていきたい。そのために各政党とりわけオール沖縄に結集する県政与党には勇気をもって踏み出してほしいと願っている。

『戦争だけは絶対NO』『命どぅ宝』。少なくとも沖縄で政治を担う政治家は、保守革新の垣根を越えて、本当の意味での県民意思に寄り添うべきである。  (文責・人権平和浜松)