石垣島ミサイル配備の現状
静岡で講演、3月4・5日現地集会結集のよびかけ!
2023年1月31日、石垣島ミサイル問題についての集会が沖縄情報館(静岡市)で開かれた。「基地いらないチーム石垣」の上原正光さんの話を聴き、質疑討論を行った。主催は静岡・沖縄を語る会、参加15名。
米軍・自衛隊が琉球弧を対中国包囲網の前線とするために、琉球弧各地にミサイル基地を配備する動きが急速に進んでいる。2016年3月には日本最西端の島=与那国島(台湾から110km)に160人規模の沿岸監視隊が配備された。石垣島はこの与那国島を後方支援する最前線の実力部隊と位置づけられ、地対空・地対艦ミサイル部隊と警備部隊の計500〜600人規模の基地を建設するとされている。
上原さんは映像や写真などの資料を示しながら、強引に進められているこの基地建設の問題点、反対運動の動きなどを熱心に語った。以下、その要約。〔 〕は筆者の補足。
広さ46ヘクタールに及ぶ基地予定地は沖縄最高峰の於茂登岳(526m)の麓の平得大俣地区、緑豊かな場所だ。元ゴルフ場の民有地(13ヘクタール)から建設が進められているが、すぐ隣には県道87号や農道が走っており、更にそのすぐ先1kmには大本小学校や集落(弾薬庫から330m)がある。住民無視の基地建設だ。
基地建設は既に様々な問題を引き起こしているし、これからも引き起こしてゆくだろう。生活に関連するだけでも、以下の問題がある。
1.水泥棒。工事には水撒き(散水)が義務づけられているが、この水確保のために農業用水を盗んでいた。この問題をSNSに載せたら即「水泥棒」はやめた。
2.赤土問題。沖縄島の高江でも問題になった。工事に伴い赤土が流出した。この現場を撮影し、問題点を追及している。
〔以下の問題点は、『ドローンの眼2 琉球弧 戦争と平和の最前線』沖縄ドローンプロジェクト 森の映画社による。
○地下水汚染の危険。石垣市の浄水の20%は地下水。基地は地下水源池から1.5km上流になり、地下水汚染の危険がある。
○環境アセスメントを実施しない。国の特別天然記念物のカンムリワシの営巣地にも関わらず工事を強行した。
○工事の騒音。〕
このように山積する問題が指摘されているにも関わらず、中山石垣市長は住民の不安・反対の声には向き合わず、「防衛関係は国の専権事項」、「問題が出てきたら防衛省に聞け」という全く無責任な態度だ。
現在の石垣市の人口は5万人弱、有権者数は3万8千人。そこに自衛隊員500〜600人と海保、その家族が転居してくれば、数名の議員が生まれる数になる。
〔昨年9月の石垣市議会選挙(定員22人)では有権者数38,660人。当選者のうち下位3名の得票数は692, 680, 676票〕
以上の話をお聴きした後、質疑応答に移った。
Q.1 反対運動の現状は?
ー 昨年の市長選では基地反対派の一部が基地賛成の中山市長の応援に回ってしまった。また、私達が撮っている基地建設の写真や映像を反対派の議員に使ってもらいたいが、実際は使われていない。しかし「命と暮らしを守るおばあの会」のように戦争(=沖縄戦)を経験した人たちの運動は凄いし反応も大きい。
Q.2 昨年市議会で意見書が決議されたがその評価は?
ー 決議自体はいいが、その次の運動を考えていかないと。何回でも反対運動、反対決議をすべきなのにそれが出来ていない。民主主義が育っていない。
与那国では全島避難の基金作りが始まっているのではないか。与那国を米軍・自衛隊の軍事基地にし、米軍の出撃拠点にしようとしている。石垣も台湾有事を考えて不安が広がっている。石垣島を出る、という話も出ている。
〔石垣市議会意見書。2022.12.19, 議長以外の市議会議員21名中賛成11, 反対9, 欠席1で可決。内容は「(反撃能力の保有に関する)法整備が進むことで、他国の領土を直接攻 撃することが可能となり、近隣諸外国を必要以上に刺激する」「有識者からも慎重な議論を求める声があがり、憲法違反の可能性も指摘されている」「12式地対艦ミサイル(SSM)や ..巡航ミサイルトマホークなど、他国の領土を直接攻撃することが可能な長射程ミサイルの石垣島への配備計画等について、十分な説明のないまま進めることがないよう強く求める 」「自ら戦争状態を引き起こすような反撃能力をもつ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認することはできない」と訴えている。〕
上原さんは話を次のように締めくくった。
「この基地問題は命に関わる問題、未来に関わる問題だ。原発が原発を抱える静岡県だけの問題ではないのと同じ全体の問題だ。「オキナワ、がんばれ!」とはもう言って欲しくない。自分の問題として捉えてほしい。石垣のミサイル基地はこの3月中にも開設予定と言う。私たちは3月4〜5日に現地集会を開く予定で、全国に参加を呼びかけている。 原発、フクシマなど全国の色々な問題を含めてこの国の根幹を問う運動を創る必要がある。」
上原さんが紹介した映像の中の「命と暮らしを守るおばあの会」会長の山里節子さんが八重山民謡トゥバラーマに乗せて歌う唄が心に沁みた。「♪あたらばがーしまゆ すくっちゃあし してぃるんでな(大事な私たちの島を 破壊するというのか)」「♪なーゆるさるぬ(私は絶対に許さない)」。自分たちが生きている限り、自衛隊のなにがしかの物が存在する限り、戦い続けていきますという気持ちが込められている。
日本という国がオキナワを再び捨て石にしてアメリカの戦争に加担しようとしている。改憲とは文面が変わることだけではなく、具体的に戦争態勢に入っていくことだ。実質改憲が進行しているのだ。
(沖縄情報館は静岡・沖縄を語る会が開設。新静岡セノバの北街道沿い迎え、東側横断歩道を渡った所。毎週木・金開館です)。(I)