11・10袴田事件第2回再審公判

 

20231110日、袴田事件再審の第2回公判がもたれた。傍聴を求めて90人ほどが並んだ。抽選に当たり傍聴することができたが、48人ほどの席のうちマスコミが22席、一般用は26人席しかない。入室にあたり、荷物はすべて預けて、金属探知をされ、5分前まで立って待たされた。死刑再審の公判であり、もっと広い法廷でおこなうべきである。傍聴席から「もっと広い場で開いてください」の声があがった。

最初に19667月の新聞記事の証拠採用について議論があった。虚偽の袴田犯人説を警察がメディアに流した証拠であるが、採用されなかった。この日、弁護団が無罪判決に向けて冒頭陳述と証拠提示をおこない、検察側の主張を批判した。

弁護側は、検察の主張では袴田さんは工場の寮からクリ小刀をもって、気付かれずに雨合羽をきて線路をわたった。家に侵入し4人を刺し殺し、金袋3つを取ったが2つを落とした。さらに線路を渡って油カンを運び、4人に火をつけ、その後、工場に戻って、衣類を隠したとなる。それが可能なのかと反論の事実を示した。

弁護側は、警察が犯人を味噌工場に住んでいた袴田巌さんを犯人として決めつけて、証拠づくりをしているとし、次のように問題点をあげた。まず第1に検察の主張ではどこから侵入し、どこで殺し、どう金品を奪ったかが不明である。第2に、雨合羽を着て現場に行ったと考えられない。雨合羽のクリ小刀の鞘は誰かがいれたもの、雨合羽の調書は630日付けとなっているが、のちに作成したものとみられ、実況検分は76日である。第3に、クリ小刀では被害者の体に残る40か所もの傷をつけることはできないし、ろっ骨をおるような深い傷はつけられないから、凶器ではない。第4に、混合油の油カンには少数の血痕があるが、犯行に使えばもっと多くの血液が付着するのであり、油カンの混合油は犯行には使われていない。

弁護側は、犯人はみそ工場に出入りしていない、工場の従業員の仕業とする見立ては誤りとした。クリ小刀、雨合羽、油の缶、ゴム草履には、袴田さんのゴム草履に血がついていないとし、実物も提示した。最後に裏木戸の録音テープが示され、裏木戸が閉まっていたという事実が明らかにされた。弁護団はこのような内容について資料を示しながら論証した。(T)