2000年富士を撃つな! 東富士9月行動レポート

●強化される米軍実弾訓練

 2000年9月13日から22日にかけて東富士演習場で米海兵隊による沖縄県道104号線越実弾訓練の分散訓練がおこなわれた。東富士では今回で3度めの訓練である。東富士での訓練は沖縄・金武町のキャンプハンセン・米第3海兵師団第12連隊第3大隊によるものである。

 今回は前回の中隊規模(約140人、155ミリ砲4門)から大隊規模(約380人、砲8門)となり、発射数も前回の約600発から、2,467発(市民グループ調査・含照明弾)となり、夜間射撃訓練は525発もおこなわれた。

 米海兵隊は、9月5日に130人、9月6日と9日に250人が「キャンプ富士」へと移動、車両80台、155ミリ砲8門も沖縄から移動した。9月13日〜22日と155ミリ砲の実弾訓練、9月23日市内外出、9月24日〜27日と市外外出、9月29日〜30日には撤退した。海兵隊員や兵器の移動には民間のトレーラー・バス・船・飛行機が使われている。御殿場へと海兵隊員を運んできたのは東都観光のバスだった(前回と同じ)。11月での北富士での訓練用に車両40台と4門の砲は残された。

 大隊規模での訓練、2,500発近い射撃、500発をこえる夜間射撃、民間輸送手段の使用、キャンプ富士内施設の思いやり予算での整備(今年度14億円)、11月北富士での104訓練におけるキャンプ富士の拠点としての使用など、米軍による富士の軍事基地としての使用は一段と強化されている。

●東富士の都市ゲリラ戦用基地化計画

 8月27日、共同通信は陸自による東富士の都市型ゲリラ戦用基地化計画を報じた。

 対都市ゲリラ戦用施設は現在、北九州の小倉曽根訓練場にあるが、本格的な市街戦の訓練ができないため、東富士に10棟の施設を2001年度から2005年にかけて建設するというのである。新ガイドラインでの、自衛隊が主体的に対ゲリラ戦を担うという計画により、次期中期防ではゲリラへの対処能力の強化がねらわれている。東富士での訓練用施設の建設はそれに対応したものである。2001年には陸幕監部約10人が視察にいき、2002年から米ルイジアナ州の大規模模擬都市訓練場で対ゲリラ戦をおこなうという。

 東富士は新ガイドライン下、米海兵隊の155ミリ砲訓練場として強化されるとともに、陸自の都市ゲリラ戦用訓練場としても使われていくことになるのである。それは東富士での軍事基地の撤去をもとめる人々の想いをさかなでるものだ。東富士での米軍の年総射撃日数は約120日におよんでいる。

●東富士での実弾訓練反対の動き

 今回の実弾訓練に反対する動きをみてみると、8月25日、横田基地東京都周辺市町連絡協議会が周辺住民への騒音・安全対策を防衛施設庁へ要請、9月5日、御殿場の市民グループが先発隊のキャンプ富士入りに抗議、9月6日「9.15集会実行委」(県共闘や県内の市民グループで構成)が県知事へと反対の意思表示をもとめて要請、9月13日〜22日にかけ「米軍は東富士にくるな出ていけ・静岡県民の会」(平和委など)が現地監視行動、9月15日には、御殿場市内で「9.15集会実」が集会とデモ、キャンプ富士へと申し入れ、9月17日には「県民の会」が御殿場市でデモ、9月18日には那覇防衛施設局前で、沖縄平和運動センターが抗議集会、9月23日には自治労・県職が反対集会をもった。

●富士を撃つな 9.15集会

 東富士での実弾訓練実施に対し、県内の市民グループは実行委をつくり、9.15集会を準備した。構成団体は沖縄東富士に基地はいらない三島市民の会、平和と人権のための市民行動静岡、NO! AWACSの会浜松、静岡県労働組合共闘会議の4団体である。9月6日、県知事へと申入れをおこない、9月15日、御殿場市中央公園で集会をもち、市内をデモした。その後、キャンプ富士へ移動、基地に対し申入書をよみあげ、それをゲートの金網にかけ、レッドカードを提示して、基地 NO! の意思をしめした。

 集会は、主催者を代表して三島の市議からのあいさつをうけ、県外からのメッセージの紹介ののち、東京(派兵チェック)、神奈川(不戦兵士の会)、京都(アジア共同行動)、東京(日韓民衆連帯全国ネット)からの連帯アピールをうけた。

 連帯アピールでは、9.3の東京での防災治安訓練への抗議行動、逗子での反対運動、米軍のアジアでの戦争犯罪、南北統一と韓国内での反基地運動のたかまりなどが示された。

 県外からの連帯メッセージを要約すると、田中正造大学の乱鬼龍さんからは、「富士を撃つ者どもこそを討てと秋」の川柳がおくられ、許すな! 憲法改悪・市民連絡会の高田さんからは、「富士をうつな! 沖縄をうつな! メヒャンリをうつな! アジアの人々をうつな! 憲法改悪阻止!」のメッセ―ジ。沖縄レッドカードムーブメントの島袋さんからは「9.23に韓国をはじめ4カ国で同時に反基地集会を!」のよびかけ。憲法を活かす市民の会・山口の纐纈さんからは「アメリカが対中国戦略下、アジア覇権のために日本の基地を強化している。東富士での演習はその一環」と指摘。新ガイドラインに異議あり北九州行動会議の村田さんからは、「北九州では特殊部隊訓練施設反対運動にとりくんでいる。ともにがんばろう」とのアピール。沖縄風の里の小野さんからは「私たち沖縄からも共に NO! の声をあげます」と連帯のメッセージ。東海民衆センターからは「名古屋の地で今後もがんばる。集会の成功を祈り、訓練の中止を求める」とのアピール。スリランカ人民解放戦線のサマンさんからは「全国キャラバンのときには静岡の皆さんのおせわになりました。石原の人種差別発言を糾弾。日米同盟を強化する富士山麓での訓練に反対する」とのメッセージ。北富士の忍草母の会からは「今回は規模が最大。富士での演習はいっそう激化している。北富士でも11月に訓練、入会地の無断使用には絶対反対!ともに反対を!」のアピール。沖縄の基地はいらないうまんちゅネットの高江洲さんからは米海兵隊員にむけて、自らの命を大切にし、暴力によらない平和への道にむけ、実弾訓練を止めようとのよびかけのメッセージ。駐韓米軍犯罪根絶運動本部の鄭柚鎮さんからは、人間の魂を破壊する戦争の訓練に反対し、平和な世の中を求めようとのアピールが送られてきた。北富士・沖縄(うまんちゅネット)・韓国からのメッセージは全文が読み上げられ、それにこたえて、会場からは大きな拍手がよせられた。

 集会は県共闘、静岡、浜松の実行委構成団体からのアピールをうけ、キャンプ富士への抗議要請文を採択して終わった。参加者は60人。現地の中学生10人などが集会をみつめ、デモ終了後のコールにも同調する姿もみられた。デモにこたえて手をする市民も多くみられた。

 新ガイドラインのもとで、富士は日米の共同訓練場として強化される一方である。平和を求める人々の力をつなげ、実弾演習反対!富士を撃つな!の声をたかめ、富士から軍事基地をなくす運動をつよめていこう。

 「富士を撃つ者どもこそを討てと秋」(乱鬼龍)

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抗議・要請文

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                     2000年9月15日キャンプ富士司令 様

 日本国政府首相 様

 アメリカ合衆国政府大統領 様

         東富士実弾訓練反対9.15集会実行委員会

 2000年9月13日から東富士演習場で米沖縄海兵隊の実弾訓練(104訓練)がはじまりました。東富士での104訓練は今回で3回めです。私たちはこの訓練の開始に抗議し、この訓練の中止をつよくもとめます。

 富士山は世界有数の美しい山であり、山麓の豊かな自然のなかに多くの動植物が生きています。しかし、約100年前にここに軍事基地がおかれ、大地は侵されアジア侵略のための訓練拠点とされてきました。

 1945年の日本の敗戦によって富士演習場は米軍に占領され、朝鮮戦争・ベトナム戦争にむけての出撃訓練基地とされました。1968年には自衛隊が演習場を管理して日米が訓練をおこなうようになり、1980年代には日米共同訓練が進められるようになりました。それは、富士が平和な大地であってほしいという人々の思いをさかなでるものでした。

 1998年には沖縄104訓練が移転し、夜間砲撃訓練もおこなわれるようになりました。東富士での日米の155ミリ砲の実弾訓練は1年で1万数千発におよぶと言います。

 これらの実弾訓練はアジアの民衆を撃つことにつながる訓練です。

 このような訓練はやめろ!富士を撃つな!と私たちは抗議し要請します。

 

 1.日米の共同訓練体制(新ガイドライン安保)を破棄すること!

 1.東富士での軍事訓練を中止し、軍事基地を撤去すること!

 1.米軍はアジアから撤退すること!

 1.米兵や自衛官を殺し合いの訓練から解放すること!