◎人らしく生きよう 1047キロ・ランニングキャラバン報告集会
      3月21日(月)18時30分 板屋町会館
               報告中野勇人さん(国労北見闘争団)  
                   主催 県労働組合共闘会議西部



 3月21日浜松で中野さんを囲む集会がもたれた。中野さんは国労の北見闘争団のメンバー。すでに四国から716キロを走り、東京に向けて、残り約330キロの走破をめざしている。計画の1047キロは清算事業団から解雇された労働者の1047人による。
 1987年の国鉄の分割民営化から18年。分割民営化は国有財産の資本への切り売りであり、労働組合つぶしであった。そこでの差別選別は国家による不当労働行為であった。多くの労働者が職場を追われ、職場で自殺するまで追い込まれた。。
 分割民営化に伴ない抵抗した7628人が清算事業団に送られ、1990年の清算事業団解散によって1047人が再び解雇された。闘争団による解雇撤回の闘いは今も続いている。
 被解雇者は闘争団を作り、各地の労働委員会で救済命令を勝ち取っていった。しかし最高裁判所は「JRに使用者責任なし」という不当な判決を出したが、清算事業団(鉄建公団)には責任があるとする趣旨を持つものだった。一方、国労は政治解決を求めて政府との交渉をすすめ、闘争団の切捨てを容認していった。闘争団は組合本部からも統制され、屈服を強いられたのである。だが、解雇撤回をもとめてきたひとびとの心を踏み潰すことはできなかった。
 このなか、闘争団の自力自闘の活動がすすめられた。中野さんは北見から四国に出て、物販などのオルグをすすめている。そして、自ら走ることで、点を線につなげ、闘いの再構築を求めたのだった。
 国鉄闘争18年は、1047キロを走ろうとする一人のランナーを生んだのだ。
 「人らしく生きよう2」は闘争団員の日々の仕事、家族の状態を追った映像である。その映像は淡々としたものだ。それは、権力や資本と体を張ってたたかう中で、その映像の意味がよりいっそう理解できるようになるというものであり、見る側の行動力を問う映像ということもできる。
 朝ビラを受け取ろうとしない人々の群れとそれに負けずに語り続ける仲間たち。集会会場での支援の発言に真剣なまなざしを向ける闘争団員。チラシをつくり、現場を歩き、仲間に手渡し会話する、現場の情報からひとつの行動・方針をつくりあげていく、労働者の運動の原点が映し出されていく。成長した子どもたちの姿が描かれる。父たちはとりあえずの家族の生活安定を捨ててまで、この闘いに命を懸けてきた。その歴史がここにある。
 抵抗できなかった労働者たちの分までも、その肩に担って生きることは大変なことだった。国鉄闘争18年はその歴史でもある。労働者の思いのこもったチラシを丸めて捨てる労働組合幹部への怒り、人らしく生きようとする労働者としての熱い想い。映像は何を継承し何とたたかって行くべきかを語りかけている。闘争団の仲間の苦闘する姿に恥じない思想と行動がいまもとめられている。
 浜松の集会では最後にバンドの仲間がイムジン河を歌った。最後のフレーズは「イムジン河越えて、人らしく生きよう」だった。2005年は国家暴力に立ち向かい、民衆の世をつくる取り組みの正念場。人らしく生きようとする仲間をつくり、その輪を広げていきたい。                 (T)