2007・2・11思想と信教の自由を守る静岡県西部集会

                川端純四郎さんの話『憲法第9条は日本の宝』から

浜松市内で川端さんの講演会が持たれ90人が参加した。川端さんの話は憲法9条を改悪しようとする動きを経済面から解説するものだった。以下要旨をまとめて紹介する。

●ドイツへの留学途中に船で見たアジアの貧困と、ドイツでの南京大虐殺で親族を殺された中国人留学生と交流がわたしに、社会への目を開かせた。歴史を学ぶとは、自分がやっていないことに対しても責任を取ろうとすることだ。貧困の解決のために経済学を学びなおした。

●ブッシュ政権はイランへの攻撃を想定してペルシャ湾岸に空母群を派遣している。一方日本はアメリカの戦争を支援するために憲法を変えようとし、現在国会で3分の2を占めている与党の力に依拠し2年間で結着させようとしている。日米の政権は暴走状況にある。

●日米の動きの背景にあるのは新自由主義経済である。この動きは社会保障の放棄と規制緩和・グローバリゼーションの強要にある。冷戦後労働運動の衰退により、修正資本主義下での社会保障の切捨てがすすみ、企業負担の軽減と庶民からの大増税がすすんだ。闘わないと社会保障はなくなる。資本主義を維持するために多国籍企業を調整していたアメリカはその規制をやめた。多国籍企業が世界に進出し、後進国の規制を緩和させて、グローバリゼーションがすすんだ。アメリカの一極支配がすすみ、反対するものには軍事力を行使するようになった。「構造改革」とは修正資本主義から新自由主義への転換のことである。弱いものを助けずに大企業の利益を守る、それが構造改革であり、それを『美しい国』と形容しているにすぎない。

このグローバリゼーションに対しては、世界で対抗する動きが出ている。EUの形成は労働運動の力を背景にした社会保障のある資本主義の枠組みの形成であり、南アメリカでは、ベネズエラのチャべス政権にみられるように、反新自由主義の政権が各地に生まれている。自国の資源からの利益をアメリカ資本から取り戻し、その利益を民衆に配分しようとする政策が支持されている。アジアでは通貨危機を体験したこともあり、東アジア共同体の形成がすすんでいる。アメリカは孤立を強めている。その中で日本に対しての直接の軍事協力と憲法の改悪の要求が出ている。

 日本経済はアメリカ依存から中国をはじめアジアとの関係が拡大してきた。中国との貿易がアメリカとの貿易を抜いている。アジア市場は日本にとって重要なものになり、友好は不可欠だ。戦争をしないという第9条は友好の基礎になる。経団連や読売などがアジアとの友好を言い始めた背景がここにある。第9条は経済の利益になるのだ。イラク戦争の失敗はアメリカの政権を交代させ、新たな対話の時代が来るだろう。労働運動や市民運動を強め、議会の改憲勢力が3分の2を超えないようにしなければならない。古代ローマの政治家カトーは「それにつけてもカルタゴは滅びなければならない」とつねに演説のおわりに語ったというが、私たちも『それにつけても憲法9条を守れ!」を繰り返し語っていこう。

●朝鮮問題についての質問にこたえれば、国際文書としての日朝ピョンヤン宣言を守るべきだ。日本の植民地支配の清算と拉致問題はセットであり、共に解決するように、事実をつめ個別の交渉を進めることだ。拉致だけを語っている日本政府とマスコミは問題。日朝の交渉を止めようとするのはアメリカの石油資本の動向がある。かれらは日朝の国交がすすみシベリアから朝鮮を経由してパイプラインでロシアの石油・ガスが日本に流れることを求めない。そのために資金が流れ、北の悪口が宣伝されているとみている。

(文責人権平和浜松)