日本国首相様             20051017

                 人権平和・浜松

   小泉首相の10・17靖国神社参拝への抗議・要請書

本日午前首相は靖国神社に参拝しました。当会はこの行動に強く抗議します。

靖国神社においては、日本による植民地や占領地獲得のための戦争が肯定され、その戦争での日本軍死者が英霊とされ、神とされて顕彰されています。この神社は国家神道の下で戦争動員のために使われました。戦後、この神社は民営化されましたが、その戦争肯定と英霊顕彰の立場はいまも変わっていません。

さらに靖国神社は、アジア太平洋戦争でのA級戦犯をも神としています。また旧殖民地の朝鮮や台湾出身の兵士の死者を、その遺族が合祀取下げを要求しても拒否し、神としています。それは戦死者を今も奪い続けていることにほかなりません。

靖国はアジアでの戦争に関する「歴史認識の核心」の問題とされています。首相の参拝行為は過去の戦争によるアジアの犠牲者・遺族を深く傷つけています。

このように戦争を肯定し、戦死者を英霊として顕彰し、また、戦争責任を認知せず、アジアの戦争被害者の声を聞こうとしない神社への首相の参拝には、日本国内やアジアからの強い抗議があります。

アジアからの抗議と「違憲」の声をうけ、今年の930日、大阪高裁は首相の靖国参拝を憲法違反とし、10月に入りその判決が確定したところです。「私的参拝」は言い訳であり、首相の行動は日本の政治的意思表示として、世界にアピールされることを自覚すべきです。今回の首相の靖国行動は日本民衆の良心の尊厳を侵す行為であり、アジアの友好を侵すものです。

日本軍の戦死者を英霊とし戦争を肯定して正当化することは、政府の戦争政策に抵抗して殺されたアジアの人々を「暴徒」として否定し、戦後、日本の支配や戦争に抵抗するなかで成立した系譜を持つアジア諸国の政権を否定することにつながります。それはアジアでの国交回復の原点をも踏みにじることです。日本にとって、政教分離(政府・首相による靖国不参拝)と戦争放棄がアジアでの平和的関係の出発点であり、これは堅持すべきものです。

しかしながら、首相は靖国参拝を5回にわたって強行し、イラク派兵をも繰り返しています。口先では「戦争を繰り返さないために参拝」といっていますが、派兵は繰り返され、この国は戦争国家となっています。また首相は「なぜ抗議されるのかわからない」ととぼけています。首相は、日本を含めアジアの人々の痛みを受け止めようともせずに、「特攻隊」までも賛美し、戦争国家化と派兵をくりかえしているのです。首相の発言は、歴史的責任がなく、政治的な倫理がありません。

よって、以下を要請します。

首相は過去の戦争犯罪を真摯に受け止め、過去の清算に向けてアジアの戦争被害者の個人賠償に向けての政策をとること、アメリカの戦争に追随することをやめ、イラクから即撤兵すること、東アジアでの政治的経済的共同をすすめる政策をとること、靖国参拝を謝罪し、アジアとの友好政策にむけての政策をとること、深く反省し進退をかんがえること。