11・26憲法調査会名古屋公聴会報告

     改憲にむけてのアリバイづくりとやらせの公聴会会場に響く護憲平和の声

  11月26日名古屋で衆議院憲法調査会の東海4県の公聴会がもたれた。会場入り口では3団体
が公聴会批判のチラシ撒きをおこなった。
 公募で6人の意見陳述者が選ばれた。陳述希望者は56人いた。このうち平和憲法擁護の趣旨を
持つ意見は約50人あり、改憲論は僅かであった。しかし選ばれた意見陳述人は護憲が3人、改憲が
3人の半々だった。当日のテーマは日本の国際社会での役割について。  
 陳述者の意見を要約するとつぎのようになる。
 田口富久治・軍事ではなく非軍事での国際貢献を。自衛隊の派遣は集団的自衛権行使にあたり反
対。
 西英子・最も貧しい人達の生存権を。貧困をなくし、自衛隊派遣ではなく第9条を全面に出し戦争の
中止を。
 野原清嗣・個人を超える価値を子どもに。教育・若者のモラル欠如の原因は憲法に。自衛権を謳い
堂々とした憲法を川畑博・ペルーでのテロ体験から暴力への暴力での対応は解決にならず。軍事報
復をやめ、和解・対話の役割を。
 古井戸康・金から人による国際貢献の時代になった。国益を重視しアジアに配慮しつつ独自の軍隊
を持つ。
 加藤政憲・強いリーダーシップをとるために、常任理事国となり世界平和を目指し、首相公選制をす
すめる。
 意見陳述を希望しても選定にあたっては,政党の意思によって陳述者が決められているという。政
党のコネのない人間は初めから選から漏れていると言っていい。公募の形を取りながら、政党のひも
付きやお気に入りが選ばれるわけだから、いかさまの選抜だ。代議士からの問いの中には自分の意
見を代弁させるためのやらせのような質問も出た。
 護憲と改憲をそれぞれ半々陳述させ、公聴会をおこなうことで国民の意見を聞いたとし改憲にむけ
てのアリバイを作っているに過ぎない。陳述希望者の9割が憲法の平和条項擁護の意思を示してい
たのにそれらの意思は公聴の場では全く表面に現れない。
 改憲を語った陳述者をみてみれば、議員が改憲を語る学生(加藤)に、学生たちのなかで憲法の話
はするかと問うと、議論はしないと答え、改憲を語る高校教師(野原)に、授業では憲法をどう教えて
いるかと問うと、教えていないと答えるなど、公聴会で憲法に対して語る資格がないかのような答え
が返ってきた。このような陳述人が改憲論を説くのである。
 このような程度の改憲論者とともに改憲を語る自民党(鳩山邦夫)は環境を守るために「義務」を加
えるなどと語り、権利を敵視する発言をした。日教組の悪口まで付け加える。公聴会では改憲議員
や陳述者が「国家安全保障にむけての義務」「憲法に自己肯定観がないからエネルギーがでない」
「日本人が大切にしたものを教育基本法に入れる」「自立して(軍隊を持ち)道徳のコアを作る」とい
った愛国主義を放言する。
 これに対して「自衛隊は憲法違反」「米軍支援の派遣は論外」「やるべきことは他に沢山あるのにな
ぜ逆の方向で行くのか」「日本の現状は法治国家といえない」「憲法に書いてあっても守ろうとせずに
改憲とは」「弱者の人権を保障する人間の安全保障をすすめる」といった反戦平和の主張があいつ
いだ。
 ところで共産の議員は、「日本民族として・・」「唯一の被爆国日本・・」「国連の強化を・・・」と強調し
ていた。他民族での国籍取得者や他国の被爆者の存在、国連の軍事活動の問題点をとらえること
のできるように議員として発言してほしく思った。陳述者の田口氏についていえば不明瞭な言葉が
多かった。
 時間が少し余ったため司会の会長が傍聴者からの発言を求めると次々に手が上がり、指名されて
答えた人達の発言は、軍事協力を批判し平和主義を擁護するものだった。改憲を唱える岐阜の教
師を批判する発言も目立った。傍聴者の中には自衛隊の参戦への批判、第9条擁護の思いが渦巻
いていたし、護憲の発言に対し会長が規制しても傍聴者から拍手がわいた。第9条大好きのトレナ
ー着用者やアフガン報復戦争反対のシャツ姿もあった。
 公聴会については新聞での告知はなく、インターネットでは見られるが、情報は十分に公開され
ていない。傍聴席には空席が目立った。いかさま割り振り陳述者選定、やらせとアリバイづくりの公
聴会の会場に響いたのは傍聴者の反戦平和・第9条擁護への熱い思いだった。陳述応募者の80
0字の文章を集めてみればきっと良い東海4県平和論文集ができるだろう。
12・3小泉首相への抗議文

●2001年12月3日

抗 議 文
小泉純一郎様
 報道によると、12月2日、テロ対策特別措置法によってインド洋に向け出発した海上自
衛艦が、米海軍の補給艦に燃料を補給するという洋上補給を実施しました。
 また、航空自衛隊小牧基地のC130輸送機がグアム島の米空軍基地アンダーセン基
地に向け海外物資輸送を開始したとも報道されています。
 米軍への、艦船による補給・物資輸送など兵站は、戦争行為に不可欠であり、明らかに
憲法9条に違反し、実質的参戦です。私たちは今回の派遣と洋上補給の開始、物資輸送
に対し、強い抗議の意志を表明します。
 アフガニスタンではこの間、米軍による激しい空爆が続き、民間人の犠牲者が多数出て
いると報じられています。自衛艦や輸送機での支援は「テロへの戦争」を口実にアフガン
ニスタンへの戦争を始めたアメリカ・ブッシュ大統領と同じく、明らかになんの罪もないアフ
ガニスタンの人々を殺す側に立つことです。更に、ブッシュ大統領 は、イラク・ソマリアなど
へ戦争地域を拡大しようとしています。自衛隊がアメリカ の引き起こす戦争の拡大によっ
て更に世界中で展開する可能性もあります。アメリカの都合によって引き起こされる戦争
で犠牲になるのは一般住民です。もはやアメリカ が言う「正義」などどこにもありません。
 小泉首相は、憲法を無視しテロ対策特別措置法などを成立させ、「多少の犠牲はやむを
えない」とまで言い、アメリカに追従し日の丸を見せることに汲々としています。
 アフガニスタンの人々はもちろん、自衛隊員の命も意志も全く無視した人命軽視のやり
かたです。皇太子に子どもができたと日本中大騒ぎをしていますが、人の命、人間の価値
は生まれによって優劣がつくわけではありません。
 私たちは何度でも言います。日本は憲法に則りあくまで平和的な行動をすべきです。
 アフガニスタンの人たちを殺す側になるな、と。米軍への洋上補給・物資輸送の開始=
本格的な参戦に対し、厳重に抗議するとともに、いかなる戦争協力も即時中止するよう要
求します。
2001年12月3日
テロも戦争も反対 ピースアクション
浜松・NO!AWACSの会
12・2 C130を飛ばすな!小牧基地抗議行動報告

●2001年12月2日

 小牧基地は名古屋空港に併設されている。1990年代、小牧基地はC130輸送機を
1992年カンボジア、93年モザンビーク、94年ルワンダ、96年ゴランへと派遣し、PKO
関連の派兵拠点となった。日米共同訓練にも参加するようになり、コープサンダーやコ
ープノースに参加し、今年のコープノースではグアム島で浜松基地のAWACSとともに米
軍と共同訓練に参加している。
 9/11以後、C130はパキスタンへと物資輸送に使われ、テロ対策法成立により11
月29日には横田から嘉手納へと米軍基地間での物資輸送をおこなった。さらに12月
3日にはグアム島へと米軍物資の輸送を始めた。
 C130による米軍支援のための物資輸送・海外派兵の動きのなかで、12月2日、小
牧基地への抗議行動が取り組まれた。主催はテロも戦争も反対ピースアクション、基地
南側の滑走路直下で集会がもたれた。彼方には小牧基地内のC130の姿がもやに包
まれて見える。時折旅客機が轟音と共に舞い降りる。
 「C130を飛ばすな」「アフガン攻撃に手をかすな」「暴力の連鎖を断て」といった横断
幕を背に集会が始まった。浜松のNO!AWACSの会,エコアクション、東海民衆センター、
ノーモア南京の会、国労、ST労組、不戦ネットなどが次々に発言。反戦平和への思いを
語った。集会には約40人が集まり、その後デモへ。集会やデモの最中、手を振る人やご
くろうさんと声をかける人もいた。
 小牧基地周辺はブロック塀で目隠しされている部分が目立った。基地正門近くには自
衛隊官舎がある。この日基地正門は移動用フェンスを使って2重に閉鎖されていた。フ
ェンス越しに広報担当者2人(私服と制服)が対応した。抗議団は担当者にフェンスから
でて対応しろと求めるが何とフェンスはチェーンに錠がかけられていて動かない。
 ピースアクションが米軍の物資輸送に対し抗議し今後一切の戦争協力をしない旨を要
請する申し入れ文を読み、NO!AWACSの会からは海外に隊員を派兵しない旨の要請が
おこなわれた。基地広報担当は「官舎にビラ入れをするな」といいだしたが、「隊員に市
民の思いを示すのは市民の権利だ」と反論。海外派兵を前に市民情報から隊員を遮断し
たいという危機意識を基地側は持っているように思われた。 この日の基地側の対応は
この戦争が日本の民衆にむけられたものであることであることを示していた。デモは「自
衛官の命を守れ」「戦争に行くな」「米軍支援をやめろ」「海外派兵反対」を元気良くアピ
ールした。その声は自衛官の胸にとどいたにちがいない。 
 自衛官自身がパキスタン製のテントを何十億もかけ何日もかけてパキスタンに運んだ
り、米軍の酒やたばこを戦争支援のために米軍基地間を運ぶことのくだらなさを知ってい
るはずだ。派兵への支持は過半数を超えていない。海外派兵反対!戦争に行くな!殺し
の支援をするな!の声を高めよう。