6.23浜松基地要請書

防衛庁長官様                       2002年6月23日
浜松基地司令様                     NO!AWACSの会浜松
浜松基地内隊員様   

  有事法案の撤回、基地内市民監視リストの廃棄、
  W杯でのAWACS使用の中止などを求める要請


いま政府防衛庁は有事法の制定をすすめています。この法案は日本国憲法の基本的人権や平和主義
の原則に反し、地方自治体の権限をも侵すものです。また国内での戦争準備をおこないつつ、米軍を支
援し自衛隊を海外へと派兵していくための法律です。
 「この法律ができると自衛隊は自由に活動ができる」「備えが必要」と宣伝する人もいますが、ここでい
う「自衛隊の自由な活動」とは戦争への参加の自由が拡大することであり、隊員の生命が軽視される態
勢がすすむということです。そして米軍との共同作戦が実施され、戦死者が増え、アジアの人々への加
害をおこなうことになります。わたしたちは政府による戦争の惨禍を拒み、自衛隊隊員の命を守るために
もこの法案の撤回をつよく求めるものです。
 6月16日の新聞報道によれば、バーレーンの米軍基地の友軍調整センター内に海自の連絡将校室
がおかれ、海自が米軍の戦術指揮下にすでにはいっていることが明らかにされています。浜松のAW
ACSもグアムでの共同訓練にみられるように米軍の戦術指揮下での訓練を繰り返してきました。海自
の例は集団的自衛権が実際に行使されていることを示しています。
これは憲法違反です。しかしこのような違反がおこなわれているにもかかわらず、政府は撤収しようとは
しません。このことは自衛隊員が違法状態のままインド洋上に放置されていることであり、自衛官の人間
としての尊厳を侵していることになります。自国の法を守らない政府の軍隊は国際社会の中で信用され
ません。政府は今すぐ派兵した自衛艦を撤収し、憲法違反の米軍支援のための海外派兵を中止すべき
です。
 また、防衛庁は組織ぐるみで情報公開申請者のリストを作り、庁内LANで閲覧できるようにしていまし
た。以前、当会の要請の際には浜松基地の渉外室の担当者が会員の職業等を調べるという出来事が
ありました。このことは市民の要請行為そのものを犯罪とし調査の対象とする発想が根底にあることを示
しています。渉外室の担当者が、要請する市民の身上を自由に閲覧できる態勢にあることは人権侵害
です。
 情報公開や要請行為者のリスト化は、法で守られた市民の社会的権利を侵すものであり、即中止す
べきです。AWACS配備後、浜松基地は遮蔽用パネルを張り巡らし、外周に監視カメラを何台も設置し
て市民を監視するようになりました。監視されるべきは市民に隠れて憲法に反する派兵や訓練を繰り返
す軍事組織です。無法な政府指導者は市民の社会的権利を侵害し監視することで、自衛隊員を海外に
派遣しているのです。
 日本国憲法の平和主義、情報公開や要請による市民の反戦平和の声は自衛隊員の命を守ってきま
した。基地内での隊員への人権侵害をなくし、基地内での市民の人権を侵す調査行為やリストづくりに
ついては告発を強めて中止すべきです。有事法は戦争協力を義務化し戦争非協力を犯罪としていきま
す。戦争反対の声を押さえつけて政府は自衛隊員や医療運輸などの労働者を戦争に動員していくので
す。隊員の皆さん、ぜひ市民の様々な声に耳を傾けてください。長官や司令は海外派兵や戦争参加に
反対してください。
 6月9日の夜12時過ぎ、W杯(日本とロシアの試合)の上空からの監視を終えたAWACSが浜松基地
に着陸しました。こんなに夜遅く轟音をたててAWACSが飛来し、着陸の逆噴射の音が周辺10キロ余
の地域にまで響きわたったのは初めてのことです。6月4日・10日にも夜の10時過ぎに飛来しました。
 W杯をめぐる日米の軍事的対応はW杯を「有事」と見なしているようなものです。
 W杯監視に浜松基地のAWACSを使用することなど過剰な対応です。ナショナリズムをあおっての軍
事展開はまるで戦争での国民煽動の訓練のようです。また浜松基地での夜間飛行訓練と夜遅くの飛行
回数が増加しています。AWACSの飛行や夜間の轟音が増加する中で市民の不安の声はたかまってい
ます。浜松基地の歴史をみれば、軍隊が市民の命を守らず、軍都化が多数の市民の空爆死を招いたこ
とはあきらかです。旧陸軍は秘密の内に三方原や中国東北部で飛行機を使っての毒ガス攻撃訓練まで
していました。わたしたちは浜松を再び戦争と派兵の拠点にしてはならないと考えています。命こそ宝で
す。
 21世紀を人間の尊厳が大切にされ、戦争のない時代とするためには大規模な軍縮が必要です。しか
し、政府は有事法の準備をすすめ、AWACSのグアム派兵をおこない、今年の訓練では浜松のAWAC
Sが単独で米軍機を管制指揮するまでになっています。日米共同作戦体制のもとでAWACSの役割は
いっそう強化され、浜松基地の拠点化がすすんでいます。わたしたちはとても危険な時代になってきたと
思います。
 自衛隊員のみなさん、アジア2000万人という死者や兵士が残したメッセージはふたたび政府の行為
によって戦争の惨禍をくりかえすなという反戦平和の思いです。この思いのうえに憲法の平和主義があ
ります。
わたしたちはここで平和への思いをもって以下を要請します。

1. 政府防衛庁は有事法案を撤回すること
1. 今後、グアム島での日米共同訓練へのAWACS派兵を中止すること
1. AWACSの運用状況や基地での離発着状況などの情報を公開すること
1. 浜松基地による平和市民の個人情報収集をやめ、そのリストを廃棄すること
1. W杯でのAWACS使用を中止すること
1. 夜間飛行訓練を中止し、静かな夜を市民に返すこと
1. AWACSを廃棄すること
1. 空中給油機の導入を中止すること       


防衛庁の情報公開請求者のリスト問題に対する要請

●2002年6月4日

防衛庁長官様                               2002年6月4日
浜松基地司令様
浜松基地広報担当者様                         NO!AWACSの会浜松
                         要 請 書

 現在、防衛庁で作成されていた情報公開請求者のリストが問題となっています。今回の事
件は、防衛庁・自衛隊が請求者の思想・身上を庁の組織をあげて調べ、それを一覧にしてコ
ンピューターに入れランにより閲覧できるようにしていたというものです。これは情報公開制
度を悪用した公権力による思想・身上調査であり、このような国家による個人情報の不当な
収集は主権者国民を差別選別する人権侵害行為です。
 これまで、防衛庁・自衛隊は情報公開のみならず、要請などの請願権の行使行為に対して
も身上などを調査し、憲法や請願法で保障された請願権を侵害してきました。
 憲法では請願権が認められ、それをうけた請願法では、請願は受理し誠実に処理されねば
ならず、その請願に対して差別待遇がなされてはならないことが明記されています。自衛隊
基地に対する要請書も主権者の声として同様の扱いを受けるべきものです。

 しかし以下の事例にみられるように、自衛隊は要請などの請願行為を監視し、請願者の職
場を調べ上げ、請願者をリスト化し、内部でそれを閲覧し、請願に対する不誠実な対応をくり
かえしてきました。
 数年前、当会会員が浜松基地の広報担当者へと要請日についての連絡をしたところ、後に
突然、職場へと浜松基地から電話が来ました。当方からは職場の連絡先は伝えてなかったの
ですが、基地の方で調査して電話してきたのです。会員は仕事中で迷惑し、そのとき戦前の
憲兵に監視されているようでとてもいやな思いをしました。職場の情報は隊内の調査機関が
調べ、その情報を広報担当者が得て電話したものとみられます。
 2000年5月14日、浜松基地の広報担当者に基地前で要請書を渡したとき、担当者は「こ
れをどうしろというのだ」といい要請・請願行為に対する無理解を示しました。

 同年の8月27日、AWACSの日米共同訓練初参加に対して浜松基地へと要請した際には、
広報担当者が当会の要請連絡者に対して、会員の職場名をあげて、要請日をFAXで連絡し
たことについて非難しました。
 これらの対応から、基地側は、要請という請願行為を理解せず、要請者の職場を秘密裏に
調べ上げて自衛隊内でリスト化し、広報担当者はその個人情報を自由に閲覧して情報を得て
いたことがわかります。
 同年の10月24日に会員が基地祭に対して要請の連絡をすると、翌日警察から、当会会員
のいる事務所へ要請当日にデモをするかどうかと行動についての問いあわせがありました。
 自衛隊と警察とがつながり、要請をおこなう市民団体を監視するようなできごとでした。警察
は市民団体の要請などの請願権行使に対しては中立であるべきであり、デモをするか否かの
事前の問いあわせは、警察、さらには自衛隊の背後からの当会への圧力を感じました。
 2002年4月7日、浜松基地広報館の展示問題についての要請書をもって基地広報館に直
接でむくと対応した館員は「職掌が違う」とうけとらず、他の館員は「(要請書は)どうせゴミにす
る」とまで発言し、請願権に対する無理解を示しました。基地広報館は、館内に話をきいて対
応する職員をおかず、要請書を受理し誠実に処理するという姿勢を持っていないのです。
 今回の情報公開制度を悪用しての請求者のリストづくりは、ここでみてきたように請願権行
使を犯罪視しリスト化してきた自衛隊が、情報公開請求者をも犯罪視している体質の現れで
す。自衛隊は旧軍のような非民主的な体質を色濃く持っているといわざるをえません。このよ
うな体質を持った自衛隊が「有事」を口実に市民を管理している現実は現行憲法の平和と人
権の精神に反し、平和を求める市民団体・個人にとって脅威そのものです。
よって以下を要請します。

 1.請願や情報公開をおこなうなどの市民権の行使に対しての思想・身上調査を今後はお
  こなわないこと、
 1.これまでおこなってきた市民権の行使者に対する調査体制について明らかにし、再発の
  防止について方針を示すこと 
 1.請願・情報公開などの市民権について庁内・隊員への啓発教育をすすめること
 1.当面、広報担当者が要請者の身上調査データを閲覧できないよう庁内・隊内での個人
  情報の管理に注意すること
 1.空幕・内局などに集約されているとみられる、請願等市民権の行使にかんして集めた当
  会会員をはじめ平和団体・個人にかんするリストを廃棄すること