イラク派兵への私の反戦論 

10.18NO!AWACS講座での井上澄夫さんの話のまとめ

日本の参戦

 「今日本が戦争をしている」ということ、「自国の戦争の戦時下にある」という認識が第一に必要と考えます。

 2001年10月のテロ特措法により、アラビア海で海上自衛隊による洋上給油がおこなわれています。03年10月初旬までに約120億円をかけて、計292回、約32万キロリットルが無償で11ヶ国に給油されています。そのうちの93パーセント、112億円分がアメリカ軍への給油であり、イラク侵略をおこなったキティーホークにも給油をしています。ペルシャ湾で石油を積み込んで給油しています。ドバイで2人の自衛官が死亡しています。

 また航空自衛隊による対米支援の空輸もおこなわれてきました。テロ特措法では陸での武器弾薬の輸送は禁じられていますが、空輸は禁じられていません。

 日本は米主導のアフガン侵略戦争に参戦しています。さらにテロ特措法は2年間延長されることになりました。日本は、米艦船への給油によりイラク占領を支援しているのです。

 今、日本が戦争しているということを自覚しない人々が多数ですが、その自覚のなさが危機の根源であるといえます。「ゆで蛙の状況」であるともいえます。イラク派兵で日本の派兵はさらに本格化することになります。

イラク情勢

 米英軍の占領政策は軍事的にも財政的にも破綻しています。反占領の闘争が一気に広がり米英軍の死傷者が続発しています。

 『星条旗』新聞でも米軍兵士の士気の低下が提示されています。5月1日のブッシュの戦闘終結宣言後、襲撃された米軍の死亡者は100人を超え、当局発表によればこの七ヶ月間で14人が自殺しています。実際にはさらに多いと見られます。このような状況に直面し、米国内では兵士の家族による即時帰還要求運動も始まりました。

 多数のイラク国民が殺害される中で反占領意識が拡大し、周辺諸国から反占領義勇兵が流入し、抵抗が国際化してもいます。戦争の『大義』であった「大量破壊兵器の保有」はうそであり、「フセインのテロリスト支援」説も根拠のないものでした。

 ブッシュの再選に赤信号がともり、ブレアは風前の灯です。このような中で、ブッシュ政権は、多くの国に派兵させて米軍が指揮する多国籍軍を編成し、復興支援の名目で占領経費を負担させる方向へと転換しました。血と金の要求をしているのです。

 ここで日本は無償で15億ドルを拠出し、35億ドルを有償(石油で返済)で拠出しようとしています。総額50億ドルですが、初年度の15億ドルは石油確保の手付金のようなものです。アメリカが負担する200億ドルは石油関連施設を米メジャーのために復旧させ、米軍が養成したイラク人治安要員に警護させることに使われます。フセイン政権下での諜報要員を反占領勢力の弾圧に使う手口もとられています。

 すでに米軍はシリアの国境を越えて展開しているといわれ、『対テロ戦争』は拡大しています。ブッシュは新たな先制攻撃を公言しています。

日本の派兵

 03年の7月にイラク特措法が成立しました。しかし8月19日にバグダッドの国連事務所が爆破されるなどの治安の悪化により、日本政府は派兵の早期実施に後込みしました。アーミテージ米国務副長官は8月21日、日本政府代表を『いまさら逃げるな!お茶会に参加するんじゃねえ』と脅迫しました。またブッシュは日本を名指しして資金の拠出をもとめました。小泉はあわてて、10月17日の日米首脳会談で早期派兵を表明し、資金の拠出に踏み切ったわけです。

 陸上自衛隊の旭川の第2師団が派兵の主軸となります。派兵地域はイラク南部のナシリアが有力視されています。サマワへの派遣説もあります。摂氏60度にもなる灼熱地帯です。北海道の寒冷地の部隊がここに移動させられることになります。作戦は浄水・給水・給電・医療支援などとされています。浄水や給水は米英軍のためともいわれ、医療は自衛官の健康管理が中心です。施設(工兵)隊が先に派兵され、砦となる基地を作ります。12月中に先遣隊が約150人、1月に入り本隊約600人が派兵されると見られます。海上自衛隊が輸送します。

 航空自衛隊は12月中旬にC130輸送機3機と隊員150人を派遣するでしょう。クウェートとカタールに拠点を設けイラク国内およびイラクと周辺国との間で輸送をおこないます。自衛隊は武器弾薬、兵員を運ぶことで米軍の手先となります。イラクの反占領勢力からは攻撃の対象とされます。

 ここで朝鮮有事との関係も見ておく必要があります。米国のタカ派の中には、朝鮮の核施設の限定空爆を主張する動きが根強くあります。この動きを止める活動も必要です。基本的には日朝国交正常化をすすめるべきです。公式な話し合いを通して問題を解決する関係が求められます。

私の反戦反軍の原理

 最後に私の反戦反軍の考えを示します。私は以下のように考えています。

 ・ 殺すな!殺させるな!殺されるな!

 ・ 武力で平和は創れない

 ・ 軍隊は軍隊を守る、軍隊しか守らない

 ・ 軍隊が抑止するのは戦争ではなく平和である

 ・ 非暴力は無抵抗ではない、非暴力直接行動は武器によらない主体的・積極的な反戦と戦争抑止の抵抗である

 今日は会場に来る前に、浜松基地と広報館、戦争史跡などを見てきました。軍隊の存在は平和を壊していくものであると考えます。米軍はイラクの人々を守っているわけではありません。沖縄戦を見ても軍隊は住民を守りはしませんでした。自分たちの反戦の原理を譲ることなく、反戦平和を呼びかけ続けましょう。戦争はすでに始まっています。世界各地に反戦の声があります。ともに今やるべきことをおこなっていきましょう。

また、この連続講座の前、夕方5時30分からはJR浜松駅北口市民の木のまえで、10名があつまり、“ブッシュの来日・自衛隊のイラク派兵に反対!”して、ブッシュの戦争にカネもヒトも出すな!を訴え、ピースアピールを行いました.