2.11思想と信教の自由を守る
         静岡県西部集会報告

 

2004年2月11日浜松市労政会館で集会がもたれた。参加者は140人。

 集会では伊藤恭彦さん(静岡大)がイラク派兵の問題点を示し、国益主義からグローバルな正義の実現に向けての活動を語った。その後活発な討論がおこなわれ、最後に「戦争への道を阻止し平和に向けて全力をあげてたたかっていく」という集会決議が採択された。

 伊藤さんの講演での発言を一参加者として勝手にまとめると、

日本の軍事政策の21世紀にはいっての特徴は、アメリカの傘のもとでの前線基地というものから、アメリカの軍事政策の中核的な構成部分への転換である。

武力攻撃対処法など有事3法のあとには国民保護・自衛隊行動円滑化・米軍行動円滑化などの法案が出てくる。また「自衛隊派遣恒久法」が出され、対象地域を限定せずに自衛隊をいつでもどこにでも出していく法制が整備されていくことになる。日本国憲法がまったく想定していない、本格的な戦争国家への変質がすすむだろう。それとともに憲法の「改正」が論議されることになる。

この背景にはアメリカ主導のグローバリゼーションがあり、アメリカはその覇権に敵対する特定国の封じ込めと壊滅を進めている。日本はこのアメリカの「帝国」による支配構造に組み込まれている。日本の有事法制やイラク派兵は、旧来の軍国主義への復活ではなく、もっとたちの悪いものともいえる。帝国の国益とそれに連動した日本の国益を超えて、戦争反対のみならず、この「帝国」がもたらす「平和と繁栄」への批判的な対峙が求められている。

21世紀の人類史的課題は、20世紀的虐殺と悲惨な生にストップをかけることである。グローバリゼーションは世界の対立的統合をもたらしてはいるが、世界の相互依存の物質的条件をも拡大している。平和的な相互依存への努力こそ求められる。

正義とはアメリカ的な「勧善懲悪」ではなく、人と人との関係の正しさである。特定の国家を悪として攻撃するのではなく、構造的暴力・物理的暴力を介在させない正しい関係を作ることが大切である。国益主義は、暴力を直視せず地球的問題群を他人事として開き直っている精神といえるだろう。国益主義を超える、グローバルな正義が求められている

地球規模での、貧困克服、食と環境、民主化、多国籍企業の規制、NGO支援といったさまざまな問題を解決するための、非軍事的、平和主義的な政府が必要である。暴力と戦争の廃絶は世界的な潮流である。グローバルな平和的相互依存関係の確立は憲法前文の精神に合致するものである。 以上要約。

この日、浜松では『奉祝式典』がもたれ、神社・遺族会・老人クラブなどから1200人が参加した。そこでは靖国支持の会長に続き、北脇市長、オイスカのインド人留学生も発言。渡部昇一が講演した。市内のある神社では「紀元節祭」がおこなわれていた。

「紀元節祭」には驚いた。変わらない風景が今もある。天皇や靖国をたたえていくことは主権と人権の放棄であり、国家への隷従の意思表示である。このような集団の意識が戦争国家を支えているのだろう。