12・2小牧基地全国集会

2006年12月2日、愛知県の小牧基地に対する「かえってこいやぁ空自、派兵恒久法はいかん、日米軍事再編反対人間の鎖行動」が取り組まれ、北海道・東京・神奈川・静岡・愛知・三重・岐阜・長野・京都・大阪・広島・熊本など全国各地から200人が参加した。

小牧のC130を中心に航空自衛隊は陸自撤退後もイラクでの米軍支援行動をおこなっている。それは、バグダッドなどイラク北部へと飛行活動を拡大し、米軍への兵站支援をいっそう強めるものである。また、小牧基地では海外派兵に対応する医療隊が編成され、来年には空中給油輸送機の配備やC130の追加配備も狙われている。小牧基地は軍事再編の中で、米軍との共同作戦基地の役割をいっそう強化されようとしているのである。

このなか全国から集まった市民が小牧基地に対して、イラクからの帰還を求め、さらなる軍拡にNO!の声を上げ、自衛隊員に反戦平和を呼びかけた。集会では、名古屋・東京・大阪・北海道・広島・神奈川・浜松・熊本など全国各地からの参加者が発言した。最後に、小牧の空や大地がイラクにつながり、派兵が悲しみや恐怖を生んでいる、「愛知の空と大地を戦争に使うな!」という内容のアピールが読みあげられた。

集会後、デモ行進をおこない、小牧基地前で人間の鎖を形作った。さらに基地正門前で「命を奪う手伝いをするために輸送機や自衛隊員を送るな!」と全国からの参加者が、それぞれの要請書を担当者に手渡した。基地側は壁を2重に作り、担当者が要請書をフェンスの隙間から受け取るという形をとった。それは市民団体を敵視する不誠実な対応であった。これに対し参加者は強く抗議した。                (T)
  
集会           デモ        人間の鎖
  
要請行動
        
  あいちの空と大地を戦争につかうな 
         12・2全国集会in小牧 アピール


「テロとの闘い」。私たちはこれまで、何度この言葉を耳にしたでしょうか。「敵が襲ってきたらどうするんだ」「私たちの命は誰が守ってくれるんだ」「日本も強くならなければ」。こういう声を何度、耳にしたでしょうか。

日本が軍備を増強し、イラクへ自衛隊を送り、武器を、兵隊を輸送する。そして新たに基地を作り軍事力を強化しようとするアメリカと共に歩もうとする。そのことに反対する度に耳にする言葉です。

自衛隊をクウェートに送るこの小牧の空は、小さな子どもや、女性や、老人を含む「非戦闘員」と呼ばれる人たちが、爆弾を積んだ戦闘機を見上げるイラクの空につながっています。愛する子どもを兵士として送り出し無事を祈る母親が見上げるアメリカの空にもつながっています。

自衛隊の輸送機が飛び立つこの小牧の大地は、銃弾に倒れた人の血が流れるイラクの大地につながり、また、テロの犠牲になった多くの人々が倒れたニューヨークの大地にもつながっています。

いま、私たちが立ち、見上げるこの小牧の空と大地は、「テロとの闘い」や「国際貢献」という言葉を使って、ここからつながる空と大地に、悲しみと恐怖を生んでいます。
そして私たちの国は、いま、戦争の愚かさを知り反省から生まれた憲法を変え、米軍再編を行い、「派兵恒久法」を成立させようとしています。日本を「戦争のできる国」へ、日本が「テロとの闘い」の司令部になり、軍隊をいつでもどこにでも、政府の意志で派兵できるようになろうとしているのです。

この様な状況の中で、いま私たちがこの大地に立ち、空を見上げてできることは、手をつなぎ、「あいちの空と大地を戦争につかうな」「これ以上、人を殺すためにここから飛び立つな」、と叫ぶことです。私たちは、ここ小牧の大地に立ち、空を見上げて、日本全国で、イラクで、アメリカで、「これ以上、命を奪うな、奪わせるな」と叫ぶ人々と手をつないでいるのです。

「テロとの闘い」という名目で命を奪えば、平和がやってくるでしょうか。「敵に襲われるから」という名目で銃を携え、基地を、核を持つことで、平和はやってくるでしょうか。安定や平和を求める「国際貢献」という名目で軍隊を強化し、輸送機で兵士を送ることで、私たちが住む日本は、世界は、平和になるのでしょうか。武器を持ち、相手を威嚇し、時に相手を敵として殺すことで、自分が殺されることを防ぐ。私たちは、このような方法で、安全に平和に暮らせると思うことができるでし
ょうか。

だから、私たちは訴えます。この空と大地を、戦争につかうな。命を奪う手伝いをするために、輸送機や自衛隊員を送るな。

私たちは、自衛隊を「自衛」ではなく「軍隊」として派遣する「派兵恒久法」の成立を、許しません。「テロとの闘い」を進めるために自衛隊と米軍を一体化し、日本を米軍基地へと変える「日米軍事再編」には、反対です。

私たちは、全世界の人々と手をつなぎ、非暴力、非軍事で平和を創り上げていくことを、今日ここ小牧で宣言します。

2006年12月2日
『あいちの空と大地を戦争につかうな 12・2全国集会in小牧』参加者一同


浜松からの要請書

防衛庁長官様 小牧基地司令様 浜松基地司令様        
2006122

                        人権平和浜松、NO!AWACSの会

 

    空自第11期イラク派兵と基地機能強化の中止を求める要請書

 

 2006116日、浜松基地で第11期イラク派兵前段要員3人の見送り式がおこなわれ、118日にはこの3人を含む約100人が小牧基地からイラクへと派兵されました。浜松基地からはすでに20次の派兵となります。わたしたちはこの派兵に強く抗議し、12月に予定されている第11期後段要員の派兵をすぐに中止することを求めます。

浜松基地へと1114日に帰ってきた第10期イラク派遣隊員が「バグダッドへの初運行が一番印象に残っている」と発言しているように、イラクでの空自の活動は米軍を後方支援する前線・戦闘地への派兵となっています。それは憲法のみならずイラク特措法にも反するものです。空自の運んだ兵員・物資によって多くのイラク人が死を強いられることになり、空自の米軍支援は侵略戦争への明らかな加担です。アメリカ・ブッシュ政権はアメリカ民衆のイラク反戦運動の声におされて選挙で大敗しました。イラクへの派兵を繰り返し体験している自衛隊員も数多くいます。日本でも自衛官やその家族の中にこそ早く派兵をやめるべきという声が高まっています。市民団体のイラク撤退の声に答えて手を振る家族もいます。

イラクのフセイン政権が大量破壊兵器や「テロリスト」と関係がなかったことをアメリカ政府が認めました。逆にアメリカの攻撃こそ大量破壊をもたらし、「テロ」の温床となりました。このようなアメリカの戦争を支持し後方支援することはまちがいです。戦争支援も軍拡も中止すべきなのに、日本政府は米軍とともに戦争をおこなうための軍拡をすすめています。

とくに小牧基地は米軍支援の中心基地として大きく変貌しようとしています。すでに11期、2000人を越えるイラクへの空自部隊の派兵がおこなわれ、200610月には「空飛ぶ衛生隊」といわれる「機動衛生隊」が配備され、さらに20072月には空中給油輸送機の配備がおこなわれようとしています。配備前から米軍給油機を使って空中給油訓練が繰り返されてきました。またC130に代わる新型輸送機の開発が岐阜でおこなわれ、岐阜にはPAC3も配備される予定です。浜松基地のAWACSはすでにイラク戦争開戦時から朝鮮監視飛行をはじめ、浜松基地にもPAC3の配備が計画されています。

このように基地機能の強化がすすめられ、AWACSや空中給油輸送機、新型輸送機、PAC3、戦闘機を組み合わせれば、この中部の小牧・浜松・岐阜・小松の航空自衛隊群は海外派兵をおこなう部隊へと強化・再編されてきているのです。そして政府は防衛庁を防衛省にすることで海外派兵を恒常化しようとしています。しかし、このような動きは日本国憲法に反するものであり、国家暴力の強化をすすめることになります。わたしたちはこのような基地機能の強化をすべて中止することを求めます。

20061029日、浜松基地へとイラク派兵とブルーインパルスの飛行に抗議して要請をおこないました。そのとき、浜松基地警衛隊は、要請団が集まったバス停近くまでやってきて情報を収集、基地正門前での要請に対し戦闘服や迷彩服の警衛隊10人ほどが安全確保を語って基地正門から外に出て要請団を囲むように過剰警備するなど、請願権を侵害する威圧を加えました。抗議によって担当官は警衛隊を基地内へと戻しましたが、その責任の追及に対し警衛責任者は姿を見せませんでした。

2004年秋の空自総合訓練ではつぎのような想定で治安訓練がおこなわれました。それは浜松基地前で反戦団体が「浜松を戦場にするな」「自衛隊は憲法を守れ」「基地司令にあわせろ」と押しかけてシュプレヒコールが響く中で対峙する、ゲートの隙間から侵入するメンバーを逮捕する、人質をとって侵入を企てるものをも逮捕する、小銃を「つれ銃」「控え銃」から銃口を下に向けて携行して訓練するというものでした。憲法を守ることを訴えて戦争に反対する市民団体を犯罪集団とみなし、銃の使用をも想定しての訓練が堂々とおこなわれてきたのです。このような教育を受けてきたからこそ、今回のような行動を警衛担当の自衛隊員がとったのでしょう。このような意識を刷り込んできた防衛庁長官・自衛隊基地司令の教育の責任は重大です。わたしたちはこのような市民団体を敵視する訓練の中止を求め、請願権の侵害に抗議し、その謝罪と再発防止を求めます。

自衛隊員のみなさん、憲法9条があるからこそ、みなさんは米軍とともに銃を取ってアジア民衆に直接銃口を向けることができないのです。その意義をぜひ考えてください。最近は民族主義団体が「自衛隊員がんばれ」と声援を送りますが、その声援は皆さんを海外の戦場に送り込むものです。民族は違ってもイラクをはじめアジアの民衆は人間であり、みなさんの兄弟姉妹です。人間を撃つな!殺戮への加担をするな!自衛隊員に反戦平和を呼びかける民衆を犯罪者とみなすな!アジアの兄弟姉妹を撃つな!民衆に銃口を向けてはいけないのです。

いまこそ、「戦争」を戦争と語らず、「人道復興支援」という美辞麗句で自衛隊員の生命を軽視するものたちの嘘を見抜こうではありませんか。派兵は拒否できるのです。皆さんが派兵されると聞いた2003年冬から、わたしたちはみなさんにこの戦争と派兵の嘘・誤りを語りかけてきました。派兵されてきたみなさんであるからこそ、この戦争の嘘・誤りを実感できると思います。基地司令であるからこそ、早期の撤退を望んでいるのではないでしょうか。アメリカ軍の指揮官の中からも心ある人々がこの戦争の中止を発言しています。基地司令も撤退にむけての発言をぜひおこなってください。以上、要請します。