08・9・14防衛省要請行動
★軍需利権より生存権を!
PAC3ミサイルの実射訓練をやめろ!
政府防衛省は、米国ニューメキシコ州の演習場に浜松基地のPAC3システムを持ち込み、9月15日からの週より、現地でミサイルの実射訓練を行う予定です。訓練後、首都圏4基地に配備されたPAC3は「使用可能」になります。そのために23億円もの税金が費やされます。PAC3ほかの「ミサイル防衛」に総額6兆円もの税金が投入されるとの試算さえあります。福祉、医療という生活に密着した歳出を次々に削減しながら、利権にまみれた「防衛」には多額の税金を垂れ流す、こんな政府・防衛省の姿勢に、主権者、納税者として強く抗議しましょう!
【主催】PAC3実射訓練に反対する全国実行委員会
<呼びかけ団体>
核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
戦争に協力しない!させない!練馬アクション
横田行動実行委員会
平和の声・行動ネットワーク(入間)
埼玉市民行動
パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会
市民ネットワーク千葉県
船橋憲法を生かす会
イラク戦争に反対する市民と議員の会(千葉)
非核市民宣言運動・ヨコスカ
ヨコスカ平和船団
NO!AWACSの会[浜松]
不戦へのネットワーク[名古屋]
(9月11日現在)
◆PAC3実射訓練が“偽装”である3つの理由
防衛省は、ミサイル防衛(MD)用の地上配備型迎撃ミサイルであるパ
トリオット3(PAC3)の初の実弾による迎撃実験を、9月15日からの
週に行おうとしています。浜松基地に配備された機材が、はるばる米国ニ
ューメキシコ州のホワイトサンズ射場に持ち込まれ、米軍の協力を得て実
施されます。標的の模擬ミサイルを二発のPAC3で迎撃するというこの
実験の経費は、米国に支払う役務費を含めてなんと約23億円。
日高義樹氏によれば、防衛省は当初、オーストラリアのウーメラ射場で
の実験を望んだそうですが、米国の圧力により変更させられたようです。
米側に、実験データ入手や、射場整備費を日本に負担させる目論みがある
との説もあります。
①【はじめに配備ありき――性能確認は後回し】
性能確認試験という意味合いを持つこの実射訓練は、本来ならば配備前
に行われるべき筋のものです。しかし、日本政府は「北朝鮮の脅威」を
口実に計画を前倒し、07年3月から首都圏4基地(入間、習志野、武山、
霞ヶ浦)と浜松基地へ次々と配備を強行してきました。米ブッシュ政権
がミサイル防衛開発に採用した「スパイラル(らせん状)開発」――性
能確認がなされずとも配備を先行させ、随時更新を繰り返していく――
という詐欺的手法をそっくり真似てみせているのです。税金の使い方と
しても大いに問題があることは言うまでもありません。
②【周辺国からのミサイルは想定外――何のためのミサイル?】
PAC3の性能自体にも重大な疑義が存在します。米国の国防情報セン
ターが掲げている97~07年にかけて行われたPAC3の29回の実験リス
トによれば、PAC3が「合格」したとされる実験は、射程300~500km
のスカッド級の戦術ミサイルや航空機を想定したものに過ぎないといい
ます。東京から500kmの同心円を描くと、西は四国の手前、北は岩手県
あたりまでしか達せず、海域に延ばしても日本の排他的経済水域くらい
に過ぎません(ピースデポ『核兵器・核実験モニター』08年6月15日号)。
つまり、北朝鮮や中国の弾道ミサイルは全くの想定外なのです。問題は
こうした基本的な事実が隠ぺいされたまま、危険な税金の浪費が既成事
実化してしまっていることです。
③【実射訓練の放棄は「無用の長物」の証明】
加えて防衛省は、性能確認試験以降、通常は配備後も毎年行っている兵
器の実射訓練を、MD用ミサイルに限っては行わないとする方針を表明
しています(4月6日、東京新聞)。膨大な費用(SM3実験は1回約60
億円)がその理由とされています。「実射訓練しない武器」の保有とは、
当てるつもりがないということであり、防衛省自らMDが「無用の長物」
たることを白状しているに等しいのです。
防衛大臣様 2008年9月14日
NO!AWACSの会
アメリカでの発射実験の中止を求める要請書
ミサイル防衛(MD)計画によって、2008年5月から浜松基地へとPAC3の配備が市民に秘密のうちに始まりました。その機材を使って防衛省は9月中旬から、アメリカのニューメキシコ州ホワイトサンズ射場で発射実験をおこなおうとしています。実験は2発のPAC3で模擬ミサイルを迎撃するというものですが、その経費は約23億円といいます。
わたしたちはMDによるPAC3配備に反対してきました。それは、配備が憲法の平和主義の精神に反し、PAC3の発射自体が交戦につながること、日米の軍事的一体化をすすめるものでり、あらたなミサイル軍拡をすすめるものであること、多額の税支出をともない、社会の軍事化をすすめるものであること、そして浜松を再び戦争の拠点とすることになるからです。
わたしたちはこのPAC3のアメリカでの実験についても、ここに中止を強く求めます。
2008年3月から4月にかけて、アメリカの議会ではミサイル防衛を点検する公聴会がもたれました。そこではミサイル防衛の脅威と現実、見通しとコスト、ミサイル防衛庁の問題などが問われました。討論は、本当に脅威があるのか、巨額の投資を続けるべきか、ミサイル防衛庁の意見もふまえて審査するというものであり、十分な議論のないままでの日本へのMDの導入とはまったく異なる状況が生まれています。アメリカでは、グローバルな戦争をおこない、先制攻撃とMDを進めてきたありようの問い直しが進行しているのです。討論では、PAC3などによるMDが多弾頭やおとり攻撃に対しては無力であること、攻撃はICBMではなく短距離ミサイルや巡航ミサイルによるものである可能性が高いことなどが指摘されています。MDへの合理的な根拠が問われ、公正な評価が求められる中で、MDへの信用が大きく揺らいでいるのです。
日本でのMDは、アメリカによる日本の軍事の統合の推進と近年逮捕された防衛次官や兵器販売のフィクサーらの暗躍の中で、すすめられてきました。浜松などに配備されたPAC3はその機材を使っての実験さえおこなわずに配備されてきました。一度SM3の実験をすれば60億円、PAC3の実験をすれば23億円、MD全体では数兆円の税を使います。税はこのように軍事費のために浪費するものではなく、民衆の生活保障のために使うべきです。また、MD用ミサイルについては実験が高価となり、基本的には実射訓練をおこなわないともいいます。このような対応では、日本のものは実用不能ということになります。
日米の軍事的一体化は司令部統合の形ですすんでいますが、そのテコがMDです。グローバルな戦争をすすめるアメリカとの軍事的一体化は日本の戦争国家化をすすめることになります。MDを中止し、対等な関係を持つように努力し、憲法の平和主義の理念を再確認すべきです。
大臣が実験の中止にむけて取り組むようここに要請します。