9・20「定住外国人の地方参政権」講演会・静岡
2008年9月20日、
田中さんは参政権問題の前史から話を始めた。田中さんは、植民地支配の時代には参政権があり、ハングルでの投票も認められていた事例を紹介した。その後、1952年4月28日の「平和条約」によって旧植民地人は日本国籍を喪失したが、それが通達による一方的なものであったとし、西ドイツでは本人の自由意志で国籍が選択された例を示した。
続いて、田中さんは1970年代の人権運動について紹介し、1970年の日立での就職差別裁判提訴と74年の勝訴、75年の崔牧師の地方参政権の提起、90年の金正圭さんらの参政権提訴と最高裁の「許容説」、2002年の住民投票条例での
さらに韓国での民主化の動きの中で、韓国ではナショナリズムや単一民族論、純血主義、文化的優越主義を克服して多文化共生を実現しようとする志向が高まり、21世紀に入り、国家人権委員会法や在韓外国人処遇法が成立し、2005年には永住外国人の地方選挙投票権を認めるという法改正をおこない、06年には投票がおこなわれたことを示した。
そして、今後は、日本の国籍法での血統主義を出生主義にしていくこと、選挙権を互恵型ではなく定住者の権利として認めていくという方向性を語り、今後の日本をどうしていくのかという視点を持つこと、特別永住者より一般永住者が多くなった現実をふまえて永住者の参政権をはじめとする権利の獲得を実現することを提起した。
講演を受けて、参加者は参政権、国籍剥奪の原因、アイデンティティ、今後の運動の課題などについて活発に討論した。