ケンローチ・「この自由な世界で」

 

映画の場面はポーランドからはじまる。アンジーはポーランドでイギリスへの職業を斡旋する派遣会社ではたらいていたが解雇される。かの女はイギリスで新たに女性2人の派遣会社を立ち上げる。アンジーはポーランド人ら東欧移民への職業斡旋をはじめ、さらに労働資格のないイラン人も派遣するようになる。結局、未払い賃金を抱えて、労働者に恨まれ、襲われる。

グローバリゼーションのなかで非正規労働と移民労働が支配的になった。EUの形成は、イギリスではポーランドをはじめ東欧からの労働移民を激増させた。イギリス資本主義の中心であるロンドンを舞台に、アンジーは「サッチャーの反革命」を具現する人間として登場する。労働者が労働者を搾取する状況を、ケンローチはアンジーを通して描く。最後にアンジーはウクライナに乗り込み、イギリスへの派遣をすすめる。

ここで映画は終わる。資本のあくなき労働者搾取への欲望をアンジーが身体で表す。

2008年末からの世界不況のなかで、ポーランド人をはじめ多くの移民が大量に解雇された。このあとの世界の展開が労働者の自立と連帯に向けてのものであることを、ケンローチは見る者に託す。

                                   (T