2009 12・13「冬の兵士」上映会と
  渡辺健樹講演「アジア平和への道 米朝・日朝関係の今後」

 

20091213日に「冬の兵士」の上映会と渡辺健樹さんの講演会「アジア平和への道 米朝・日朝関係の今後」をもった。

「冬の兵士」上映会

「冬の兵士」は20083月に反戦イラク帰還兵の会が開いた証言集会を中心に構成されている。

映像ではつぎのような実態と反戦の思いが続く。交戦規定が濫用され、無差別殺戮が行われていること、帰還兵士が虐殺の体験やそれへの良心の呵責からPTSDになって苦しんでいること、自己の人間性をとりもどすためにも撤退を求めること、人間を撃ちつくすと犬や猫まで撃ち殺したこと、イラクの市民を標的とする戦争を正当化するための「テロリスト」という情報操作がおこなわれていること、アメリカを信じ、アメリカを人間らしい国にしたいこと、愛国とは戦争をやめることであること・・・。

帰還兵士は、帰国した後、怒りの発作が起きて妻子を失ったり、路上の人を攻撃する思いに駆られたり、周囲の音が爆弾の音に聞こえるなどの幻聴に悩む。「血の海を見る」と語る兵士の表情は暗い。けれども、帰還兵士に中から、自己の回復に向けて反戦・撤退・福祉を求めて闘いが始まった。それは、兵士の自己回復運動である。「KILL!KILL!KILL!」の掛け声の時代を、生命と平和の時代へと転換するためにも、この運動は大切である。

 

    渡辺健樹講演「アジア平和への道 米朝・日朝関係の今後」

 渡辺さんは講演を1オバマ政権下の朝鮮政策、2鳩山政権の朝鮮半島政策、3韓国併合100年の取り組みの3点にまとめた。要約する以下のようになる。

オバマ政権はアフガン派兵と経済危機とに取り組み、対朝鮮政策は従となっている。8月に記者の解放のためにクリントン元大統領が訪朝したが、それはクリントン時代の米朝枠組み合意の段階を再確認する意味もあったとみられる。この12月の対朝鮮政策特別代表のボスワースの訪朝によって、6カ国協議の共同声明の履行への共通理解を確認している。米朝関係は米朝が直接交渉し、準戦時状態を終結させ、平和状態を作ることが課題である。

 鳩山政権についてみれば、9月の鳩山の国連演説では、朝鮮の非核化、拉致・核・ミサイル問題の包括的解決と過去清算による国交正常化、北の前向きな誠意ある行動などを語っている。現在の中井冶国家公安委員長・拉致担当相はかつて民主党の拉致対策本部長であり、0811月に追加制裁が議論された際には、民主党案は在日の再入国の禁止までも提示していた。また、民主党政権は貨物検査法案を臨時国会に提出している。このような動きはこれまでの政権の政策の踏襲とみざるをえない。

 拉致被害者家族連絡会の事務局長だった蓮池透さんは、対話によってのみ拉致問題は解決し、制裁でもっとも被害を受けるのは在日、過去清算する中で拉致も解決するという視点を持っている。

 韓国併合100年をむかえるなかで、新政権に対しては、制裁の解除、日朝交渉の再開、100年の過去清算の実施、拉致問題の対話による解決などを強く求め、貨物検査法案や敵基地攻撃論に反対すべきである。また、日韓民衆が共同して、東アジアの平和を求める署名運動や朝鮮半島の平和協定、非核平和にむけての取り組みをすすめることが求められる。

 渡辺さんのこのような問題提起を受けて、参加者で討論し、集会を終えた。  (T)