2.26 李時雨さん名古屋講演会

2011年2月26日、NPO三千里鉄道の主催で李時雨さんの講演会がもたれた。イ・シウさんはフォトジャーナリスト、統一と平和の活動を運動をすすめている。会場には李さんの写真も飾られた。

李さんは「紛争の海・西海を平和の海に」をテーマに、昨年の延坪島事件の背景を説明し、韓日両国の問題として国連軍の存在を示し、今後の民衆の連帯を提起した。

李さんは、停戦協定があっても領海問題が合意されたことはないこと、「北方限界線」が一方的なものであること、延坪島の要塞化、駐韓国連軍の司令部の機能とその後方基地としての在日米軍基地の問題点、朝鮮有事の際に自動的に戦争に突入する危険性などを説明した。そして2007年の104南北首脳宣言の方向性を再確認し、「西海平和協力地帯」の道をすすめていくことを提起した。また、解体されているはずの駐韓国連軍がいまもあることを指摘し、その解体の重要性を話した。さらに、二〇世紀初めの韓日の社会主義者などの活動を紹介し、新たな連帯運動を呼びかけた。

 李さんの問題提起の後、延坪島事件の状況や国連軍の実態について活発な討論がなされた。討論を聞きながら、スライドの説明や会場に展示されている写真に付けられている李さんの言葉を書き留めた。それは以下のようなものである。

歴史は所有するためのものではなく、生きるためのもの。すべての美しさは痛みを抱いている。否定のみならず肯定の力で治療する。自由の反対は拘束ではなく慣性だ。困難な時には遠くを見つめ、問題を解決する。花は動かず、挫折することなく香りをだし、香りで虫を呼び世界を花でおおう。カガイモのツルはより強いものに合うたびに柔軟に包み込み,勝者になった。鉄の結び目を蜘蛛の糸が包囲する、それは小さな勝利。地雷は分断を食んで育つが、いつか錆が生じる。夜を通して星がみた夢が雪の結晶となり、鉄条網を包んでいる。わたしの心の延長線が他の人の心と一点で交わるとき、それは希望となり、多くの人々の心が一束に結ばれるとき、それは展望となる。

李さんの写真と話は、自身の慣性を問いながら自由を求め、生存そのものが戦争機械を凌駕していく行為に共感しつつ、希望と展望を分かち合おうとするものだった。                  (竹)