2011.3.19グローバル反戦・浜松行動報告
以下のチラシを配布し平和集会を持ちました。
9.11から3.11の現在
反戦・反原発の声を!
★グローバルな戦争を止めよう!
2001年の9.11事件以後、アメリカはアフガニスタンで戦争をはじめ、2003年にはイラクでの戦争をはじめました。アメリカはイラクからの撤退を始めてはいますが、今も数万のアメリカ軍がイラクにいます。アフガニスタンでは、アメリカ軍は傭兵を含めれば10万人を超えるといわれます。いまもグローバルな戦争が続いています。
この「対テロ」を口実としたグローバルな戦争の特徴は、宇宙空間を支配しての予防先制攻撃とミサイル防衛による軍拡です。平時を装ったなかで戦時が進行し、ロボット兵器や特殊部隊を使っての作戦がくりひろげられています。日本の自衛隊もこの戦争の後方に位置付けられて、海外派兵を繰り返してきました。
わたしたちは浜松空襲で生き残った駅前の木の前で、このような戦争と自衛隊の派兵に反対し、グローバルな平和を求めてきました。
9.11から10年を迎える2011年、グローバルな戦争の即時停止を、あらためてこの地で訴えます。
★原子力発電からの撤退を!
日本はアジア太平洋戦争での植民地支配や戦争責任をきちんと取ることのないまま、冷戦のなかでアメリカに追随し、原子力発電の政策をすすめてきました。原子力発電はウランからプルトニウムを取り出して核兵器を作るなかでの副産物です。それを「平和利用」の名の下で、推進してきました。原発建設地では原発に反対する民衆を権力と金の力でねじ伏せてきました。そして、国と電力会社は「原発震災」を防ごうとする声をも無視してきました。
現在、福島第1原発では、「原発震災」で想定されていた配管破断、電源喪失、冷却不能、炉心溶融などが起きています。このような福島原発での大事故があり、また、大規模な東海地震が予想されているにもかかわらず、中部電力は浜岡原発を停止させようとはしません。
わたしたちはこれまで原子力発電の問題点について、浜松で講演会を企画するなどの活動を通じて学習を重ね、原発の廃止を求めてきました。今回の福島の事故で、原発が「安全」でないことが証明されました。すぐに中電は浜岡原発を停止すべきです。また、国は原子力政策を根本から見直し、脱原発に向かうべきです。
2011.3.19グローバル反戦・浜松行動報告2
2011年3月19日、アフガンやイラクでのグローバルな戦争に抗して、反戦・反原発のチラシまきをおこない、平和集会をもった。平和集会では杉原浩司さん(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)が「グローバル戦争とロボット兵器の現在」をテーマに講演した。以下はその概要である。
杉原浩司講演「グローバル戦争とロボット兵器の現在」
浜松の皆さんこんばんは、杉原です。ミサイル防衛に反対するキャンペーンは10年ほどになります。それに関連して軍需産業や武器輸出の問題点について調べてきました。今日はその中でロボット兵器をテーマにお話ししたいと思います。
●ロボット兵器の現状
はじめに、イスラムタイムス紙(2010年4月5日)にシンディ・シーハンという人が書いた「(プレイならぬ)スレイ(虐殺)ステーション」という題の記事を紹介します。冒頭に、「持久性、航続距離、効率と接続性という属性は、グローバル統合軍事作戦における証明済みの戦力多重増強要因である」との言葉が「米空軍無人機飛行計画」から引用されています。これに対して筆者は、爆撃現場から遠く離れた米本国でのロボット兵器の攻撃指令を「大虐殺から何千マイルも離れ、絶叫や臨終から何千マイルも離れ、道徳や同情からは、何光年も離れている」と強烈に批判しています。
ロボット兵器の問題点についてはP・W・シンガーが『ロボット兵士の戦争』(NHK出版)で包括的分析を加えています。この本や最近の記事などから問題点を指摘してみましょう。
軍事ロボット開発は人類が戦争を独占してきた時代を終わらせ、兵士の定義を変質させるものであり、原爆開発に匹敵するとシンガーは言います。2003年の段階では米軍に軍事ロボットはなかったのですが、いまでは3万台を超える無人機や無人車両などを保有するに至っています。特に、無人攻撃機「プレデター(肉食獣)」の出現は21世紀の戦争のやり方を変えたといわれ、アメリカにいながら午前はアフガン、午後はイラクと2つの戦場で戦うという状況が生まれました。これはGPSと無人システムとの統合によって可能になっています。米空軍の退役将官はそれを「魔法の瞬間」と呼びます。宇宙空間を支配して大容量の画像伝達、指揮命令、バックアップが衛星によって行われているわけです。今後、軍用ロボットは10兆円の市場になっていくとみられます。
●ロボット兵器の問題点
ロボットによる戦争は、低コスト化、味方のリスクの低下、布告なき開戦、暗殺などを進めることになり、戦争の敷居を低いものにします。国際人道法違反でもある民間人の巻き添え殺人も増加しています。ロボットの投入により、攻撃された側には新たな反感(「臆病者!」)や怒りが生まれています。また、鮮明なスクリーンであるがゆえに民間人の殺傷を目にする機会が増え、米兵のなかに新たな心理的な負荷や非人間化が生じているともいわれます。戦場画像の流出によって「ユーチューブ戦争」と言われる戦争のエンターテインメント化も進行しています。
さらに、完全に自律した武装ロボットによる戦争犯罪をどう裁くべきか、という難題に象徴される「政治的、法的、倫理的問題のハリケーン」が起きると指摘されています。赤十字国際委員会(ICRC)やヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)ですら、議論が追いついていない状況です。
●CIAによる「標的殺害」(=暗殺)は許されない
現在とくに問題とされているのは、パキスタンなどでCIAが行っているロボット兵器による「秘密処刑」です。フィリップ・アルストン氏ら国連人権理事会の特別報告者は、「無人機による『生死の力』は軍に委任されるべきであり、情報機関に委任されるべきではない」「戦闘地域以外での無人機使用は非合法だ」と批判しています。CIAは、拘束しての拷問が国際的な批判を受けるようになると「拘束より殺害の方が理にかなう」として、ロボット兵器による暗殺へと傾斜していきました(『Newsweek日本版』3月9日号)。文民でありながら戦闘行為に直接携わるようになり、「違法な戦闘員」として訴追される可能性も生じています。オバマ政権下で無人機攻撃は急増しています。
●ロボット兵器の軍縮へ
ロボット兵器の拡大に対してその軍縮が追求されなければなりません。それには、第一に研究者自身がその開発を放棄するという倫理が求められます。日本でも、米軍によるカネの力を用いた研究者の囲い込みが進行しています。日本人研究者が米国の大学で軍事ロボット開発に携わっていることも報じられています。新たな時代における「科学者の社会的責任」論が必要でしょう。また、国際的な監視機関の設立や国連人権理事会における法的規制の議論を促進することも重要です。国際人道法を発展させ、処罰を可能にしなければいけません。「予防原則」に立って、武装ロボットの自律化を止める必要があります。「武器貿易条約(ATT)」制定に向けた議論にも、ロボット兵器の問題を組み込むべきでしょう。
日本政府もロボット兵器の拡散に公然と加担し始めています。無人機の目にあたる「画像ジャイロ」(機体に付けた複数のカメラの画像を解析して位置を測定)の開発が日米共同技術研究の形で昨年2月から始まっており、「アイヴィス」という民間企業に機器の開発が委託されています。GPSが妨害されて機能しない場合にそれを補完することが目的です。「紛争を助長しない」という武器輸出3原則に明らかに抵触するものですが、輸出管理を担当する経済産業省は「武器技術ではない」と強弁しています。これは、CIAによる国際法違反の暗殺作戦を支援する動きに他なりません。何とかして中止に追い込みたいと考えています。
無人偵察機である「グローバルホーク」(福島原発も撮影)の購入も検討されています。また、パナソニック製の頑丈なノートパソコンである「タフブック」の米軍の無人機戦争での活用など、民生品の軍事転用も重大な問題です。新防衛大綱に武器の国際共同開発を明記することは辛うじて避けられました。しかし、武器輸出禁止3原則のなし崩し廃棄の動きは止まっておらず、「ミサイル防衛」用の新SM3ミサイルの第三国輸出や無人潜水艦の国際共同開発などが狙われています。
憲法9条を持つ日本政府と市民は、グローバル戦争とそこでのロボット兵器の増加に反対し、その規制と軍縮に向けた積極的なイニシアチブこそを発揮すべきなのです。