2011・7・17
「廃炉は浜岡から」反原発全国集会

7・17全国集会

 7月17日、静岡市内で「廃炉は浜岡から」反原発全国集会が、浜岡原発を考える静岡ネットのよびかけでもたれた。集会には、静岡県内の市民グループや全労協傘下の労働組合、反原発議員市民連盟、タンポポ舎など全国から700人ほどが参加した。

 集会では、参加団体の挨拶とともに、福島瑞穂さん(社民党党首)や佐藤栄佐久さん(元福島県知事)が連帯のアピールをおこなった。集会決議を採択し、集会後は組合旗をなびかせ、静岡市内をデモ行進した。中電前では「中電は原発から撤退しろ」「浜岡原発を再開するな」「浜岡原発を廃炉にしろ」と力強くシュプレヒコールをあげ、中電入口に集会決議文を貼り付けた。

 2011年5月、浜岡原発5号機で配管の破損などで海水が流入する事故が起きている。7月15日、中部電力は御前崎市議会に対して溶接方法などに問題があったと説明したが、その際、原子力は必要と公言した。中電は、まだ原発を止めようとはしないのである。原発の廃炉にむけて市民の声をあげ続けることが求められている。



福島瑞穂さんの発言

佐藤栄佐久さんの発言

 7・16石橋克彦講演会

 全国集会の前日の7月16日には、静岡市内で浜岡原発を考える静岡ネットの主催と反原発議員市民連盟の共催で、石橋克彦講演会「原発震災を繰り返さないために」が持たれ、600人が参加した。

 石橋さんは次のように語った。日本列島は大地震活動期に入っていて、3.11の超巨大地震はさらに日本の地震活動を活発なものにする。この中で、原発の全廃を目指して歩むことが求められ、これまでの産業構造は根本的に改めるべきである。福島原発は津波以前に、地震による激しい揺れによって、機器配管・圧力抑制室が損傷を受けた可能性が高い。津波が原因とする説に騙されてはいけない。日本列島は原発の立地条件を満たしてはいない。日本の原発は地雷原でカーニバルをするようなもの。浜岡は大地震で1から2メートルの隆起があるだろう。原発は破壊され、防護壁も壊れる可能性が高い。そこを津波が襲う。安全装置は壊れ、死の灰が降り注ぐことになるだろう。本質的な安全とは原発をなくすことである。3.11を経て、加害者意識ももってほしい。浜岡原発は永久閉鎖すべきだ(要約)。

講演後の意見表明では湖西市長の三上さんが「黙っていたら推進派、声をあげよう」「政治家は今こそ学び、発言するとき」と原発反対の持論を展開した。
 講演集会の後には交流会がもたれ、鹿児島や横須賀、東京など全国各地からの参加者が反原発の思いを語った。浜岡現地や静岡、浜松などからの発言もあった。

なお、7月1日には、「浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟弁護団」(団長・鈴木敏弘弁護士)による静岡地裁への提訴があった。また、東伊豆町議会は、7月4日中部電力浜岡原発の永久停止・廃炉などを求める意見書を採択した。      (T)



『廃炉は浜岡から』反原発全国集会決議

 福島第一原発の引き起こした原発震災は4ヶ月余を経過し、いまなお終息が見
えず、放射能災害を深刻化させ続け、海の汚染被害も広がっています。福島のこ
どもたちは被曝の危険の高い環境に放置されています。10万人を超える人々が家
や田畑から引き離され、先祖から受け継いできた故郷を強制的に放棄させられて
います。
 日本は、スリーマイル、チェルノブイリから学ぶことに失敗し、東海原発臨界
事故、柏崎刈羽原発地震被災からも真実を見ず、原発と手を切ろうとしませんで
した。その結果が福島の原発震災の悲惨な現実です。
 いま、この瞬間にも東海地震が襲えば、どんな津波対策をほどこそうと、浜岡
原発の破壊は免れず、静岡県のみか、日本全土と世界中が大災害となる原発震災
を防ぐすべはありません。福島の原発震災に重ねて、さらに浜岡発の原発震災を
許すことになれば、それは、人類に対する犯罪としか言いようがありません。私
たちは、そんな犯罪の加担者にさせられることを絶対に拒否します。
 その最悪の危険を防ぐ道はただ一つ、浜岡原発の完全廃炉しかないことを、大
会参加者全員で確認しました。いや、浜岡廃炉だけではありません。地震列島日
本に建設された54基の全原発が原発震災を引き起こす危険は同じです。わたした
ちは、浜岡廃炉を突破口にして日本中の原発の廃炉を実現させるまで、運動を日
本中に拡げていくことを確認しました。
 私たちは、原発があらゆる生物の生存をおびやかす放射能と引き換えにしか得
られないエネルギーの製造手段であることを、福島の原発震災ではっきりと知り
ました。
 原発が、命と引き換えの被曝労働なしには1Kwのエネルギーも作り出せない電
力製造装置であったことをも、否応なく確認しました。私たちは原発がなくても
日本の社会は暗くならないことも、日本の経済が混乱することのないことも学ん
で知りましたが、たとえ電力が足りなくなったとしても『人間の命と引き換えの
電力』などに私たちの生活を託すわけにはいきません。日本中の原発の速やかな
廃炉を目指します。
 いま日本中に広がる『危険な原発は御免だ』の圧倒的な世論が地方自治体を変
えはじめています。「段階的な脱原発+安全な原発の運転再開」という路線を乗
り越え、原発の完全復活を狙う電力資本、原子力村に巣くう官僚と御用学者、電
力資本の番頭と成り下がった電力総連、それらに揉み手をしながら奉仕する保革
連合の政治屋集団を打ち破るために全力を尽くします。
 最後に、「頑張ろう日本」を隠れ蓑に厚顔にも居座りを策す、東京電力と原子
力安全・保安院、原子力安全委員会等の犯罪的な責任を徹底的に追及し抜きます。
東京電力温存のための保証の肩代わり、巨額の税金の投入を許しません。
 以上、決議します。
            2011年7月17日 浜岡原発の廃炉を目指す全国集会