10.27「強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動」
               結成・シンポジウム

 

2012年10月27日、東京で「強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動」の結成集会とシンポジウム「日韓が東アジアの平和の未来を切り開いていく日は来るか」がもたれ、50人が参加した。

 結成集会では、はじめに強制動員・企業責任追及裁判全国ネットワークから、補償立法運動の経過が示された。全国ネットは署名運動、院内学習会をすすめてきたが、立法を求めるアピールには10月27日現在で、日韓で842人が賛同している。今回、日韓共同行動を立ちあげ、立法化を本格的にすすめたいと提起した。

その後、田中宏さんが台湾軍人軍属の補償、在日韓国人の軍人軍属の立法をめぐる経過やドイツの事例を示し、この立法を実現することの意義を語った。結成集会の最後に、連帯アピールが三菱名古屋女子勤労挺身隊訴訟、日韓会談文書の公開を求める会、強制動員真相究明ネットワークからなされた。

 結成集会後にもたれたシンポジウムでは南相九さん(東北アジア歴史財団研究員)、佐藤健生さん(拓殖大学)、樋口雄一さん(高麗博物館)から問題提起がなされた。

南さんは、「受忍論」が支配してきたなかで、日韓での過去の清算をめぐる問題は1990年代から始まったことを示し、市民の役割が大切になっているとした。そして、外務省が竹島の冊子で、江戸幕府が1696年に無用の小島をめぐっての争いで友好を失うことは得策ではないとした判断を記していることなどを紹介した。

佐藤さんは、ドイツがヨーロッパの一員として生きることを前提とし、事実を認知し、過去について取り組み、強制労働被害者補償へとすすんだ経過を述べた。そして、補償こそ謝罪であるという視点を示し、「記憶・責任・未来」財団の活動を紹介した。そこでは生存者救済に重点を置き、国と企業が各50億マルクを拠出し、受け皿機関を信頼して、強制労働被害者166万5千人に43億6980万ユーロを渡している。

樋口さんは、1939年の凶作と餓死、離散、植民地下での乳幼児死亡率の高さ、米の強制供出、義務教育の不適用、戦時の朝鮮内の動員や500万人余の朝鮮外への移動などを示し、日本人はどこまで「巨大な監獄」であったとされる植民地支配の実態を知っているのかと問題を提起し、布施辰治や上甲米太郎などの例をあげて朝鮮人と共に社会的不正義と闘った日本人の伝統の発掘を求めた。 

シンポでは最後に、日韓民衆間の対話の重要性が提起された。  (