628「三菱は韓国光州高等法院判決に従え!」三菱重工本社前行動

 

2015624日、韓国の光州高等法院は、三菱名古屋朝鮮女子勤労挺身隊被害者賠償訴訟の判決で、原告への賠償を言い渡した。賠償金額は元隊員3人にそれぞれ1億2000万ウォン、1人に1億ウォン、遺族1人に1億208万ウォンの計5億6208億ウォンだった。前回の判決よりも合計で1億2000ウォンほど少ないものになるが、勝訴である。

 この判決は、韓国では日韓請求権協定が個人請求権までも否定するものではないとする見解が支配的なものになったこと、つまり韓国での戦時の強制労働被害者の個人賠償請求権の確立を示すものである。強制労働の被害者と支援の運動がこの権利の確立を導いた。

 これまでの経過をみておこう。この原告勝訴の動きは、2012524日、韓国の大法院が三菱重工広島、新日鉄訴訟で下級審判決を取り消し、差し戻したことからはじまる。大法院決定は、請求権協定解決済み論をはじめ、消滅時効論や別会社論、日本司法判断の既判力などを否定するものだった。その判断は、韓国の植民地支配は不法であり、その下での動員も不法行為であるとする立場からのものであり、未解決の問題として、「慰安婦」、被爆者、サハリン残留者に加えて、強制動員被害者が含まれることになった。光州での三菱名古屋女子勤労挺身隊裁判はこの流れのなかではじまったのである。

 今回の判決を受けて、628日、三菱重工業の株主総会に合わせて、会場周辺へ三菱が韓国高裁判決に従うことを求め、支援者20人ほどで横断幕を広げて、チラシまきをおこなった。品川駅前でのチラシまきでの受け取りは極めて悪いが、会場周辺での受け取りはよい。周辺では各社の株主総会がもたれ、NTTの労働組合による争議解決を呼びかけた情宣もおこなわれていた。

株主総会での宣伝行動の後、参加者は三菱重工業本社前での金曜行動をおこない、最後に「三菱は光州での判決に従え!」とコールした。この日には、三菱重工業への申し入れ、外務省への要請行動などもおこなわれた。

三菱の株主総会の会場近くで三菱名古屋裁判のチラシを配っていると年配の女性が、「日韓条約でお金は渡し、そのおかげで韓国は発展したんでしょ。いまさら何をケチつけてるの」と抗議してきた。過去の植民地支配への反省を示すことなく、また個人への賠償の筋道をつけることなく、経済協力金という名の金銭で決着させようとしたことが、このような言葉を生んでいる。しかし、韓国での判決はこのような植民地支配の反省なしでの金銭解決済み論を超えるものになっている。その地平に立っての新たな解決が求められる。

以下は三菱重工業への要請書である。

                        2015年6月26日

            名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会
            名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団

申し入れ書

 6月24日、光州高等法院は、名古屋三菱・勤労挺身隊訴訟について、幼い少女である原告らを騙して過酷な労働に従事させた貴社の不法行為責任を認め、一審に続き、再び原告らに対する賠償を貴社に命じた。
 貴社の別会社論、既判力論、消滅時効、日韓請求権協定論などの形式論理を弄ぶ主張はことごとく斥けられた。
 結論が分かれたとはいえ、貴社の原告らに対する不法行為は、2007年5月31日の名古屋高等裁判所判決においても強制連行・強制労働に該当し、正義・公平の観念に著しく反するとして厳しく断罪されたところである。日韓両国の司法判断は、貴社が原告らに対して不法行為責任を負っていることを厳しく指弾している。
 著しい人道的被害を受けた個人の請求権は、国家間の合意によって、葬り去ることはできない、この点において日韓の司法判断に些かの相違もない。

 人権の回復と法の支配は、国家を問わず、普遍的な法則である。
 われわれは、名古屋高等裁判所の判決以来、貴社の不法行為責任を追及し、貴社が自発的に解決することを促し続けてきた。
 しかるに貴社は、2010年7月以降2年にわたった原告らとの話し合いの場においても、2014年9月以後、複数回にわたって光州高等法院から促された調停の機会においても、自らの不法行為責任に向き合うことなく、頑なに自発的解決を拒み続けてきた。
 光州高等法院の判決は、賠償額を減額したとはいえ同種の強制労働被害を認めた釜山高等法院、ソウル高等法院の判決に比べて高額な賠償を認めており、貴社の原告らに対する不法行為の深刻さが他の強制労働事案と比べても重大であることを裁判所が認めたものである。

 一刻も早い解決が求められていることは明らかであり、いたずらに上告し、原告らの人権回復を引き延ばすことは、もはや犯罪的である。
 よって、われわれは貴社が原告らに対して貴社の不法行為を謝罪するとともに、光州高等法院判決に従い、深刻な反人道的被害の被害者である原告らに対し、直ちに賠償をなすことを強く求めるものである。

                                       (T