11・5袋井「戦争態勢と沖縄新基地建設の現場から」
             山本英夫さんの現地報告

 

2015年11月5日、袋井のデンマーク牧場で、「戦争態勢と沖縄新基地建設の現場から」の題でフォトジャーナリストの山本英夫さんを招いての報告会がもたれた。

 山本さんは東京から201310月に沖縄の名護に居住し、辺野古の現場に通いながら、沖縄の反基地の闘いを伝えてきた。集会には45人ほどが参加した。

山本さんはつぎのように語った。

 安倍政権は、沖縄、原発事故被災者、主権者、歴史認識などを無視し、でたらめな政治をしています。が、民衆の側に問題はないのか、わたしたち自身への問いも必要と思います。

 さて、沖縄での辺野古の新基地建設は、飛行場、岸壁、弾薬庫をもつ統合的な基地建設です。普天間の移転は口実にすぎません。新基地建設問題では、名護市長選と沖縄県知事選で、基地反対の首長が生まれ、沖縄と日本政府との全面対決がはじまっています。

 20147月、安倍政権は、集団的自衛権の行使容認と新基地建設工事にむけての臨時立ち入り地域制限区域について閣議決定しました。決定の翌日、安倍政権はボーリング調査の開始を宣言し、ゲート前と海上行動を軸に闘いが展開されることになりました。そして同年11月の知事選では、翁長さんが沖縄のアイデンティティを掲げ、島ぐるみ選挙で当選し、今年10月には、埋めたて承認を取り消したのです。それに対し、国側は代執行を振りかざして、沖縄県を恫喝しています。

 安倍政権は抑止力、負担軽減、対中脅威などを宣伝して、南西方面での軍事強化をすすめています。沖縄を前線基地とし、戦争の火種となることをいとわないようですが、沖縄ではそれを許さないという動きが強まっています。

 やはり、沖縄が軍事殖民地とされてきた歴史をみておくことが大切です。大日本帝国により防波堤とされ、多くの民衆が沖縄戦で命を失い、その後米国が占領し、軍事基地を集中させたまま、核持ち込みの密約付きの「返還」がなされました。しまくとぅばは復帰運動のなかでも抑圧されました。復帰により日本への併合がすすみ、基地の島は維持されたのです。

米軍再編の中、新基地建設と南西方面が重視されてきました。自衛隊は、与那国島にはレーダー、石垣島や宮古島には警備隊などをおこうことしています。米空軍のCVオスプレイの演習場も多くが沖縄であり、とくに伊江島が狙われています。また、島嶼奪還演習がおこなわれ配備された常駐機以外の随時の飛来も増えています。米軍は実際に人家や農地のあるところを臨場感のある演習場としてきたのです。

しかし、基地は経済的な阻害物になっています。現地では、新基地は絶対につくらせない、勝つ方法はあきらめないこととふんばっています。自己決定権と人権の確立が求められます。希望は非暴力の闘いと住民自治にあります。戦後、米軍は日本から出撃して多くの民衆を殺してきました。沖縄は出撃の拠点でした。平和を守れという表現も大切ですが、日本は本当に平和だったのかという自省が求められます。また、状況に流されないためにも自己を取り戻すこと、仲間をつくること、自らの表現力を持つことが必要だと思います。(以上要約)。