3.29「戦争回避の永久化を」伊勢ア賢治浜松講演会

 

2016年3月29日、浜松市内で静岡県弁護士会が主催して、「紛争解決人」伊勢ア賢治さんの講演会があり、120人が参加した。

 伊勢アさんは、戦争違法化のうごきのなかで、個別的自衛権、集団的自衛権、国連的措置(集団安全保障)、集団防衛(軍事同盟)による武力行使へと制限されてきた経過を示し、PKOでは「保護する責任」の名によって武力介入がおこなわれるようになっていることをあげ、戦争法の問題点を示したうえで、「戦争回避の永久化」にむけて、日本は「非武装」・「中立」の立場で関わるべきと話した。

以下、伊勢アさんの話で印象に残ったものをあげておく。

●PKOはルワンダ内戦で内政不干渉、中立の立場をとり、結果として100人の虐殺を生んだ。それがトラウマとなり、「保護する責任」(R2P)が言われるようになった。2011年にはリビアへの「限定的空爆」がおこなわれたが、国連は住民救出のためと承認した。カダフィが悪者とされたが、現在は独裁政権よりも多くの人が亡くなっている。人権を理由に武力介入が正当化される時代である。

●かつてPKOは交戦しないものだったが、いまでは、交戦する時代に入った。コンゴでは20年の内戦で540万人が亡くなった。南スーダンも内戦状態であるが、PKOは撤退しない。このような変化があるが、日本は中立性を持ち、非武装の軍事監視団で行動できる。これは文民としての行動である。自衛隊の部隊を派遣することにこだわるべきでない。

●すでに、アフガン、イラクと日本は憲法9条の下で戦争に参加してきた。海賊対処法では邦人保護の名で出ていき、ジブチには基地を置いている。今後は、平和安全法(戦争法)によってPKO、非国連総括型(有志連合)、周辺事態の3分野で自衛隊が海外に出る。政府は、武力行使とは一体化しない、自衛隊員による武器の使用があるとする「一体化論」をいっているが、まやかしである。PKOでは軍規、統合指揮、戦時国際法から一体化している。自衛権とは交戦する権利である。敵からどう見えるのかを知ることが大切だ。日本での「後方支援」、「非戦闘地域」という言葉は憲法に対するごまかしであり、後方支援とは兵站であり、非戦闘地域などは存在しない。

●自衛隊は憲法で交戦権を認めていないから、応戦してこなかった。応戦したらどういう問題が起こるのかは自衛隊自身が知っていた。しかし、いまは政治家がやれ、やれ、という。自衛隊の根本的な法的な地位を国民に問うことなく、自衛隊を海外に送ってはならない。安倍政権を倒すだけでなく、どんな政府であっても、市民が戦争させないという世論をつくり、「戦争回避の永久化」をすすめることが必要だ。