いわき訪問記(2016,8,9〜8,12)

8月9日、12時12分、ひたち7号は定刻より少し遅れて、いわき駅に着いた。電車を降りて改札口を出てみると、駅周辺はコンクリートで固められ、緑が少なく、太陽の照り返しが強く少し、ムッとする印象を受けた。

荷物をホテルに預け、N氏のイベント会場である平中央公園へ急いだ。公園は駅から歩いて15分、樹齢100年くらいになるような大きな木がたくさんあり、ゆったりしたいい公園であった。公園は芝が張られ、人々はそこでキャッチボールをしたり、サッカーボールで遊んだり、木陰のベンチで読書したり、夕方は「ポケモンGO」で遊んでいる人がたくさんいた。お年寄りからよちよち歩きの小さな子ども、ベビーカーに赤ちゃんを乗せた若いお母さん達、多くの人が公園を訪れていた。芝の隅にはモニタリングポストが設けられており、ポストは0.130.15マイクロSVを指していた。

N氏のイベントは「あかいささぶね」で公園をいっぱいにしようという趣旨で、平中央公園の4割程度をいわき市から借り、赤いささぶね2万本を植えようというものである。1万本は掛川の自宅で用意し、残りを会場に来た人に作ってもらう計画だった。「ささぶね作っていきませんか〜」、「ささぶねで遊んでいきませんか〜」と声を掛けると、多くの人が気楽に参加してくれた。親子連れ、中・高生が多く参加してくれた。

せっかくここまで来たのだから、福島第一原発にできるかぎり近づいてみようと、N氏の車を借りて6号線を北上した。いわき市は福島第一原発からおおよそ南へ40q。午前9時出発時の車の中の線量は0.158マイクロSVであった。10時、広野火力発電所付近0.1、10時22分、富岡町・富岡駅付近0.20、10時31分、熊川付近0.59、10時38分、大熊町・長者原(福島第一原発の真西2.5q)0.99マイクロSVを記録した。線量はすべて車の中のものである。福島第一原発の回りはゴーストタウンと化していた。築何年にもならないような新しい家、農家が多いのか、敷地も広く立派な家にも雑草が茫々としていた。広大な自然の森林地帯には当然ひとっこひとり住んでいない。そのような中、街道沿いには除線作業をしている人達がいた。交通止めにしてある箇所を警備する警察官、警備員。パトカーが街道をひっきりなしに走って行く。その人達が利用するためのコンビニ店が一軒だけ営業していた。被曝は大丈夫なのか?と心配になった。この後、富岡街道を飯舘村に向かったが、すぐに帰還困難区域のゲートがあった。常磐自動車道でいわき市に帰ってきた。

私は今回、イベントの手伝いでいわき市に行った。行く前は、いわき市は放射線量が高く、長袖、長ズボン、マスクに手袋の作業は東北とはいえ暑いだろうなと考えていた。しかし、いわき駅を降りた途端、それは私の妄想であったのかと思わされた。それほど、いわき市の人々の風景は浜松市とほとんど変わらなかった。放射線量だけが高い。この現象に私は少なからずショックを受けた。

2週間が過ぎようとしている今でも、私は心の整理がつかないでいる。放射線の影響に閾値はない。5年後、10年後の身体は大丈夫なのか。日本人の命の価値は、低くみなされているのではないか。                               
                               (池)