*****************************************************
        トランプ米大統領訪日と日米首脳会談に向けた
     朝鮮半島と東アジアの平和を求める110団体共同声明
       *****************************************************
                         2017年11月2日

  トランプ米大統領のアジア歴訪で、11月4日頃には日本を訪れ日米首脳会談も行われます。私たちは、トランプ大統領訪日と日米首脳会談が、日米戦争同盟の強化と第二次朝鮮戦争への危険な動きをさらに加速させかねないものとして、これらの動きに強く反対し平和を求める諸団体が共同で声明を発するものです。

        朝鮮半島の緊張の根源と平和への道

 今、朝鮮半島の軍事緊張は極度に高まり、一触即発の状態が続いています。米国はサ
ードを韓国に配備、史上最大の米韓合同軍事演習を繰り返し、朝鮮側は核実験やICBMなどの発射実験でこれに対抗しています。

 日本では一方的に「朝鮮の脅威」のみが煽られていますが、これは誤った見方です。朝鮮戦争の停戦協定から今年で64年にもなりますが、停戦状態のまま大規模軍事演習で絶えず軍事的威嚇を加えてきたのは米国です。
 この米国の軍事的圧迫が朝鮮を核・ミサイル開発に向かわせたのです。      
                
 朝鮮半島の緊張状態を平和の方向に転換させるためには、米国が大規模軍事演習を停止し、朝鮮も核・ミサイル開発を停止する相互停止がまず必要です。そして対話により現在の停戦状態から平和協定締結に向かうことです。これは朝鮮戦争当事者である米朝の義務であり、私たちも求める朝鮮半島非核化の近道でもあるのです。
  しかし、東アジアの軍事プレゼンス維持のためこれを拒み続けてきたのは米国です。  ここに朝鮮半島の緊張の根源があります。

 私たちはトランプ大統領に、先の国連演説での「朝鮮を完全に破壊する」などといった言辞を撤回し、朝鮮政府と無条件で対話し緊張緩和を図ること、何よりも朝鮮半島の停戦状態に終止符を打ち、平和協定を締結し、朝鮮半島の恒久的平和体制に向かうことを強く要求します。

         朝鮮半島の緊張利用する安倍政権

 安倍政権は米国に追随して「対話より圧力」の旗を振り、朝鮮半島の緊張を煽り、それを最大限に利用して「戦争のできる国」作りを推し進めてきました。

 戦争法に基づく集団的自衛権行使(自衛隊の米軍への戦争協力)拡大、1基800億円もする陸上配備型イージスシステム(イージスアショア)や相手国への先制攻撃のための「敵
基地攻撃能力」導入など米国からの高額兵器購入をはじめとした大軍拡政策、さらに「共謀罪」の強行成立などによる治安管理体制の強化を推し進め、いまや憲法9条の改悪にまで手を付けようとしています。
 とくに安倍首相は、「すべての選択肢はテーブルの上にある」とするトランプ氏の発言に支持を表明してきましたが、これは軍事行使の支持を含むものであり明らかな憲法9条違反です。

 しかも、真っ先に標的となる在日米軍基地はそのままに(沖縄では辺野古新基地建設を強行し)、原発の再稼働を推し進め、「対話より圧力」などと唱える安倍政権に「国民の安全」のため平和な環境を築こうという意思は見られません。
 私たちは、これらの動きに強く反対します。

         日朝正常化と米朝平和協定の実現を

 また安倍政権は「戦争のできる国」づくりのため、朝鮮のミサイル試射にJアラートを広域に活用し、各自治体に防空演習を行うよう指示してきました。しかし、9月15日のミサイルは、高度400キロを周回している国際宇宙ステーションの倍の高度800キロで日本上空を2分で通過しました。Jアラートも防空演習もPAC3もほとんど意味がなく人びとを戦時動員さながらに駆り立てようとするものです。

 憲法9条を持ち平和国家を標榜する日本は、このような安倍政権とは別の道を歩むべきです。
 私たちは日本政府に、国交正常化を目指すことで合意した日朝ピョンヤン宣言(2002.9.17)に基づき、対朝鮮敵視政策を転換し、トランプ米大統領に朝鮮との対話と平和協定締結を促すことを強く求めます。

【お断り 朝鮮民主主義人民共和国の略称は「朝鮮」としています】

日韓民衆連帯全国ネットワーク、
ピースボート、
「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)、
許すな!憲法改悪・市民連絡会、
反安保実行委員会、
在日韓国民主統一連合、
憲法を生かす会、
フォーラム平和・人権・環境、
東北アジア情報センター(広島)、
樹花舎、
パレスチナ連帯・札幌、
在日朝鮮人作家を読む会、
ポラムの会、
志太・憲法を大切にしよう会、
憲法を生かす会・茨城、
不戦へのネットワーク、
平和・人権・環境を守る岐阜県市民の声、
研究所テオリア、
東アジアの平和と友好を求める民衆の会
、<ノーモア南京>名古屋の会、
モントリオール9条の会、
東京日朝女性のつどい、
ユニオンと連帯する市民の会、
真宗遺族会広島地方支部、
米軍Xバンドレーダー基地反対・京都/近畿連絡会、
平和といのち・イグナチオ9条の会
ピース・ニュース
バンクーバー9条の会、
労働運動活動者評議会、
朝鮮・韓国の女性と連帯する埼玉の会
朝鮮学校生徒を守るリボンの会、
人権平和・浜松、
朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会、
本郷文化フォーラムワーカーズスクール(HOWS)、
韓国良心囚を支援する会全国会議
東京都学校ユニオン、
猪飼野セッパラム文庫、
福岡地区合同労働組合、
朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会、
ユーゴネット、
沖縄文化講座、
沖縄の自立解放闘争に連帯し反安保を闘う連続講座、
ノレの会、
共同行動のためのかながわアクション、
日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会、
日本と南北朝鮮との友好を進める会、
湘南護憲市民の会・鎌倉、
労働者共闘、
憲法9条−世界へ未来へ連絡会、
戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委員会、
ふぇみん婦人民主クラブ、
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、
全日本建設運輸連帯労働組合、
かたつむりの会、
教育に愛と平和を取り戻す会、
KOBEピースiネット、
荒川住民ひろば、
「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会、
平和憲法を守る荒川の会、
平和をつくり出す宗教者ネット、
日本山妙法寺
在日韓国青年同盟、
在日韓国民主女性会、
在日韓国人学生協議会、
NGOラブ・アンド・ピース、
破防法・組対法に反対する共同行動、
共謀罪反対!国際共同署名運動、
新社会党朝鮮半島問題プロジェクトチーム、
ぴ〜す・め〜る、
沖縄を考える市民の会、
朝鮮女性と連帯する会ふくおか、
ストップ秘密保護法かながわ、
時を見つめる会、
I女性会議千葉県本部、
子どもの未来を望み見る会、
アジア連帯講座、
ミナト神戸を守る会、
札幌「資本論」に学ぶ会、
ピースリンク広島・呉・岩国、
くらしと憲法をつなぐ会、
安倍政権にNO!東京・地域ネットワーク、
憲法骨抜きNO!ねりま、
被爆二世の会、
アジア共同行動日本連絡会議、
埼玉県平和資料館を考える会、
現代を問う会、
アジェンダ・プロジェクト、
ピープルズ・プラン研究所、
Attac東海、
郷土教育全国協議会、
基地撤去をめざす県央共闘会議(神奈川)、
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、
「憲法」を愛する女性ネット、
武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)、
日朝友好連帯埼玉県民会議、
安保関連法廃止!市民の集い、
全水道東京水道労働組合、
全関東単一労働組合、
多文化・共生を考える会、
反天皇制運動連絡会、
いのちとくらしを考える会・宮城、
9条の会・おおがき、
I女性会議ひょうご、
東アジア市民連帯(構成団体:フォーラム平和・人権・環境、ピースボート、日韓つながり直しキャンペーン、日韓民衆連帯全国ネットワーク、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会、村山首相談話を継承し発展させる会、東京朝鮮人強制連行真相調査団、6・15共同宣言実践日本地域委員会、朝鮮学園を支援する全国ネットワーク、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会、日本朝鮮学術教育交流協会、「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC).全日本建設運輸連帯労働組合) 
 【順不同】

日米韓共同宣言

朝鮮半島と東北アジア平和のため、大胆な政策転換を求める

世界の火薬庫、朝鮮半島の緊張が日増しに高まっている。
 トランプ大統領は米国の前政権による「戦略的忍耐」政策の失敗を認めながらも、史上最大の国連制裁と独自制裁を行う中で、最近では朝鮮半島において「完全に破壊」などと軍事的行動を口にしてはばからず、北朝鮮は核、ミサイル発射実験の水位を上げ続けている。このような状況のもとで日本の安倍政権は、軍国主義の再武装に拍車を加え、自衛隊の朝鮮半島進出を公言する一方で、憲法9条改悪の最終的段階に入っており、韓国の文在寅 政府はキャンドル抗争の強い願いにも関わらず、米国の強硬政策、北に対する敵対政策に追従している。

 このような中で、この11月3日から14日まで、トランプ米大統領は日本、韓国、中国を訪問し、ベトナムとフィリピンではAPEC、ASEAN首脳会議に出席する予定だとしている。特に、韓国を訪問する8日には、国会演説を通じて「国際社会が北朝鮮に対する圧力を最大化するよう要請する」としている。

 戦争で脅迫し、天文学的武器購入を要求するような首脳会談、戦争と制裁を煽るような国会演説は要らない。
 もし、トランプ大統領が今回のアジア歴訪と首脳会談により、一触即発の軍事的危機に直面した朝鮮半島と東北アジアの緊張をさらに激化させるならば、各界の強い抵抗に合うということを厳重に警告しながら、われわれは次のように要求する。

トランプ政府は失敗した?「戦略的忍耐」政策を繰り返さず、大胆に平和政策へと転換せよ!
 北朝鮮を標的とする制裁と軍事的圧力など敵対政策が中断しない限り、朝鮮半島の平和体制構築と非核化実現は遠いことになってしまうのは、この数十年間確認されてきたからこそ、今や根本的政策転換に立ち上がるべきだ。世界最大の核兵器保有国であり覇権国家である米国がまず、北朝鮮に対する好戦的な発言、一方的で不公正な制裁と軍事的圧力、実戦を思い起こさせる大規模な軍事演習などを中断し、平和的解決の道を切り開かねばならない。
 北の脅威を口実としたサードミサイルの配備、武器の増強などは、朝鮮半島のみならず周辺国との対立さえも激化させており、決して朝鮮半島対立の平和的解決策とは言えない。韓国の星州ソソン里のロッテゴルフ場に配備したサードの発射台とレーダーを直ちに撤去せよ!武器の押し売りに反対する!

 文在寅政府は米国の一方的な制裁と軍事的脅しに追随することなく、朝鮮半島の当事者として南北共同宣言の精神にしたがって、対話と協力の先頭に立て! 文在寅政府が熱望するピョンチャン(平昌)冬季オリンピックの成功もまた、軍事訓練の中断、衝突危機の解消なくしては不可能なので、当事者として軍事訓練の中断による平和的先制措置を行うべきだ。
 北朝鮮の脅威を口実にした軍事力の増強とサード配備、日米韓MD協力は、アジアの軍事的対立を激化させるばかりか、当然福祉に回すべき莫大な費用を無駄遣いするため、即刻中断されるべきだ。

 日本の安倍政権は北朝鮮脅威を名目に、共謀罪や特定秘密保護法を制定し、軍事力の増強、集団的自衛権行使に続き、憲法改悪を進めるなど、監視社会、戦争できる国づくりなどの動きを直ちに中断せよ!