沖縄訪問記 2018.4.8~4.12
●出合った人びとの話
4月9日はフォークの日。久しぶりにまよなかしんやさんと会った。脳梗塞を患い、身体がうまく動かせない状態で、特に言葉が思うに任せないようであった。CDを流しながらの演奏で、元気なときのようにはいかなかった。しかし、私には浜松での2回のコンサートや太田知事が稲嶺恵一氏に知事選で負けたとき、「沖縄の人はこんな困難を何度も乗り越えてきているから大丈夫」と元気づけられたこと、沖国大に米軍ヘリが落ちたとき浦添の抗議集会に連れて行ってもらったこと、修学旅行でのコンサート等が思い起こされ、感慨深いものがあった。しんやさんはこれから歌えなくなった分を書く方で頑張ると言っていた。そして、「NO!AWACS通信」を読んでいるから頑張ってくださいとも言っていた。これからの新たな分野での活躍を願ってやまない。
山城博治さんの話も聞くことができた。23日から始まる500人集会をぜひ成功させ、これからの運動、そして11月の知事選に勝利しようと訴えた。その中で県民投票に触れ、県民投票には時間が掛かり、その間に工事は進んでしまう。それよりもシュワブ・ゲート前に人を集め、トラックを止めるべきである。県民投票を提案しているのは那覇の人達であり、このゲート前に集まる人達の気持ちは、初心から1mmも変わっていないと訴えた。
博治さんの話は人々を元気づける。この日のゲート前のゴボウ抜きに対する抵抗は、今までで最も激しかったように感じた。ゲート前に集まれば何とかなるという展望を与えてくれた。
島田善次さんは辺土名や国頭でトラックを止めている。こちらに集まっているのは20名で、トラックを2時間くらい止めている。「アベ政権を止めるにはまず行動、行動しない民は滅びる」と言っていた。この行動しなければならないという呼びかけに応え、この日の集会発言はいつになく多かった。
北上田さん、奥間さんは技師の立場から工事の問題点を語った。まず施行順序であるが、本来必要である知事の許可なく変えられている。県へ提出した計画では大浦湾の側から工事を最初にするようになっていたが、現在辺野古側から工事が行われている。これは水深の浅い辺野古側のほうが工事がやりやすく早くできるためであり、県民にあきらめムードを作るためにやられている。そして、活断層と軟弱地盤の問題がある。特に軟弱地盤は、地盤の強度を測るために打ち込むサンプラーとういものがあるが、打ち込む前に30cm以上も沈んでいってしまう程の弱さで、ほとんどマヨネーズ状態である。防衛省はボーリング業者の報告により2年前からこの事実を知っていたが、隠していた。ここに一個7000tもあるケーソンを38個設置する計画になっている。ここの地盤を強化するためには大量の捨て石が必要で、これも知事の承認が必要になっている。したがって、知事選の結果が大変大きい。
抵抗するときにやはり理論的な裏付けは必要で、この二人の話は心強い限りである。この軟弱地盤では、どんなに政府ががんばっても基地を完成させることができず、とんでもないものが辺野古に残ってしまう危険性は大いにある。一体だれが責任を取るのだろう。
●辺野古新基地周辺の高さ制限問題
4月9日の沖縄タイムスの特ダネ一面トップ記事は、辺野古の国立沖縄工業高等専門学校の校舎が、辺野古新基地の周辺に設定される建造物高さ制限を超えていることを伝えた。米国防総省策定の基準によると、辺野古新基地の場合、滑走路の2,286mの周囲の高さ制限は約55mになっている。沖縄高専は高台にあり「創造・実践棟」70m、「体育館」67m、「メディア棟」、「教育・実験棟」64m、「学生寮」59mとほとんどの建物が基準を超えている。
高専の担当者は「工事が始まっている現時点でも防衛省からは何の説明もない。学校が後からできたわけではないので対応のしようがない」と語っている。防衛省は米軍基準に基づいて新基地を設計しており内容を把握しているはずである。記者の取材に、防衛省はコメントしなかった。
その続報、4月10日付の沖縄タイムスは「沖縄電力の鉄塔も12ヵ所で高さ制限を超える可能性が出てきた。沖縄防衛局は沖電に移設を要請し、費用の負担を申し出た。沖縄高専には説明もしておらず、対応に落差が生じている」と、伝えている。
4月11日付の沖縄タイムスは「小野寺五典防衛相が米側との調整で、沖縄高専は制限の対象とはならず、米軍飛行場設置基準違反との指摘はあたらないと述べた」と伝えた。しかし、なぜ基準の対象外になるのかは「米軍の判断」とされ、とうてい納得のできるものではない。
4月12日付の沖縄タイムスは、キャンプ・シュワブ内の弾薬庫も高さ制限を超すと伝えている。また、キャンプ・シュワブ内の広い範囲で、高台や丘の地面も制限を超えている。沖縄防衛局は事実関係を認めた上で「米側と調整し適用除外となった」と説明している。NTTドコモ、沖縄セルラー電話の携帯電話基地局も、高さ制限にかかり、撤去や移設について防衛省は協議している。
何ともみっともない対応の防衛省であるが、それでも少しでも良心があれば、沖縄高専の問題が発覚した時点で、すべての高さ制限を超える物を発表するべきである。隠せるものは少しでも隠したいという下種な考えが丸見えである。こんな防衛省、日本政府が沖縄民衆の過半数以上が反対する辺野古新基地を造るなんてとんでもない話である。(池)