2・17 三雲崇正講演「民営化で大丈夫?水道と私たちの生活」

 

217日、水道民営化に反対する県民集会がもたれ、140人が参加した。主催は水道事業民営化を考える浜松市民の会による。

集会では、弁護士の三雲崇正さんが「民営化で大丈夫?水道と私たちの生活」の題で講演した。三雲さんは、水道法改正の背景、政府によるPPP/PFI推進、ヨーロッパでのPFI評価と再公営化などについて話した。以下、印象に残ったことがらをあげておく。

水道での施設運営権の設定は、インフラ関係企業や投資家にとってあらたなビジネスチャンスとされ、成長戦略のひとつとなっている。

PFI法方式では、事業提案経費、資金調達コスト(金利高)、アドバイザリー費用などがうまれ、役員報酬や法人税も出すことになる。設計・建築費や維持管理・運営費を圧縮することになるが、本当に圧縮できるのだろうか。

2018年改訂版の「PFI/PPP推進アクションプラン」では、方針にあらたな投資やビジネス機会の創出が重要と記され、台帳などの整備は公的不動産への民間事業者の参画をうながすためのものとされた。

ヨーロッパでは役員報酬、配当、グループ会社への独占的発注、割高な外注費、過剰な設備投資が問題となり、PFIへの評価は落ちた。イギリスでは水道民営化で年間約2719億円が投資家への配当金とされ、約2197億円が金融機関への利息となったという試算がある。計約5000億円にもなる。イギリスの会計検査院の2018年報告では、資金調達での金利、VFM評価への甘さが指摘された。金融危機以後はPFIの投資が急速に減少している。イギリスは、201810月、PFIの活用を停止するに至った。

公共サービスの再公営化が世界の潮流となった。パリ水道は公営化され、株主配当や役員報酬は不要となり、収益の親会社への還元もなくなった。営業利益のごまかしも明らかにされた。ベルリンでは8%の株主利益を約束する秘密契約が明らかにされ、再公営化された。

公共のための水道の収益は、水道事業に回すべきであり、金儲けのために利用してはならない。

講演後、主催者から浜松の水道の民営化の動きと民営化を止めるための行動提起があった。
 規制緩和、民営化を進める勢力は力を持っている。新自由主義政策を変えていくために、さまざまな枠組みが必要である。また軍拡と憲法改悪を止める核の形成も求められる。自問のない他党批判は、自らの品位を落とすものである。