袴田巌さん帰郷5周年 袴田巌さんの再審無罪を求める5・25浜松集会

 

「巌さんおかえりなさい」のプラカードを掲げてJR浜松駅新幹線改札口で待ち受ける支援者の前に、お姉さんの秀子さんと共に巌さんが姿を現したのは2014527日。その日から5年が経った525日、表題の集会がクリエート浜松1階のふれあい広場で開かれた。オープンスペースでの集会は、広く市民に巌さんの再審無罪への取り組みを知ってもらいたいという主催者の思いが込められている。参加は60名。(主催:浜松 袴田巌さんを救う市民の会。協力:北川好伸さんを支える会、部落解放同盟静岡県連)

 集会は、袴田事件弁護団の西澤美和子弁護士の報告と、名張毒ぶどう酒事件元特別面会人の稲生昌三氏の話が中心に進められた。西澤弁護士は、最高裁でのたたかいの論点の一つとして、検察による特別抗告・東京高裁大島裁判長の判断が、憲法違反(あるいは憲法解釈の誤り)であること、最高裁の判例と相反する判断であること、の2点をあげた。稲生さんは、名張毒ぶどう酒事件冤罪被害者の奥西勝さんの再審(奥西さんは2015年に獄死。現在は妹さんの岡美代子さんが原告として再審請求中)の経過を語り、再審法の改正・拡充を強く訴えた。

 冤罪事件では検察の証拠隠し(時には証拠ねつ造の疑い)がたびたび問題となる。この集会の2日後の527日、「布川事件」冤罪被害者の桜井昌司さんが求めた国家賠償の判決が東京地裁であり、市原裁判長は検察の証拠開示拒否、警察の捜査に違法性あり、との画期的な判決を下した。袴田事件でも取り調べの録音テープの存在を隠すなど検察の姿勢が問題となっている。

 今、巌さんは浜松駅周辺を歩くのを日課としている。多くの浜松市民がその巌さんの姿を当たり前の日常として目にし、受け入れている。未だに再収監・死刑執行の恐れがある「無実の死刑囚」という身分であることをその姿から想像するのは難しい。しかし、それが現実であることを私たちは忘れてはならない。「最高裁はただちに再審開始・そして無罪判決を!」の声を更に高めていくことが今私たちに求められている。(I)

袴田巖さん帰郷5周年

袴田巖さんの再審無罪を求める5・25浜松集会アピール)

 

5年前の3月27日、静岡地方裁判所は袴田巖さんの再審開始を認め、47年7ヶ月ぶりに拘置所から釈放しました。再審開始決定は捜査機関のねつ造の疑いを認めるなど、決定文には「これ以上の身柄拘束は、耐えがたいほど正義に反する」とまで記されていました。

 ところが検察の即時抗告を審理した、東京高裁大島隆明裁判長は昨年6月11日、静岡地裁の再審開始決定を取り消しました。4年の時間をかけ、無罪と死刑という天地がひっくり返る判断が下されるという信じられないものでした。

 静岡地裁の決定を覆した大島裁判長は、袴田さんをあらためて再収監することは認めませんでした。しかし、検察は袴田さんの再収監を認めるよう、最高裁に強く求めています。最高裁の判断によっては、袴田さんはいつ拘置所に逆戻りさせられてもおかしくない、とても危険な状況に置かれています。

 袴田さんが再収監されるということは、死刑の執行を前提とするということです。一度は無罪を前提に釈放された袴田さんが、わずか4年後に「お前はやはり死刑だ」と再収監されるなどということが許されてよいのでしょうか。

 もし、そんなことが現実に起これば、弁護団も訴えているとおり、「世界にも例を見ない前近代的、非人道的な事態」です。人命を弄ぶにも等しい行為であり、最高裁だけでなく司法全体に対する国民の信頼を著しく失墜させるに違いありません。

 袴田巖さんは無実です。

最高裁は無辜の民の救済のための再審請求であることを踏まえ、直ちに再審開始を行なうべきです。

                                       

                   2019年5月25日

袴田巌さん帰郷5周年  袴田巖さんの再審無罪を求める5・25浜松集会

<主催団体:浜松 袴田巖さんを救う市民の会>