10・17浜松集会 井戸謙一講演


 2020年10月17日、浜松市内で冤罪と再審を考える浜松集会がもたれ、50人ほどが参加した。
 集会では西澤美和子弁護士が2018年の東京高裁による再審開始決定取り消し決定以後の特別抗告審の現状について報告した。西澤さんは東京高裁の決定が、疑わしきは罰せずという原則に反し、尋問の機会なしで決定したこと、被告に有利な判決を覆さないという原則や迅速に裁判を受ける権利に反するものであるとし、DNA鑑定、右肩の傷、自白調書などに関する補充書を提出していることを説明した。そして自白調書として採用されている検察官による1966年9月9日の調書が実際には日付よりも後に作成され、起訴日以後のものとみられることを指摘し、証拠として採用されないことになることを指摘した。
 続いて、井戸謙一弁護士が「冤罪をなくすために 湖東記念病院事件事件の教訓」の題で講演した。
 井戸さんは、湖東病院事件での自白が刑事によって誘導されたものであり信用できないものであったことを示し、解剖鑑定書での死亡原因も思い込みによるものだったと指摘した。また、再審決定は支援する会や日弁連の活動と共に、中日新聞や毎日放送による報道の力が大きかったとし、裁判官が自白を疑わず、検事を信頼し、司法の権威に依拠していることが、えん罪を見抜けない状況を生んでいると分析した。さらに、再審法を制定するにあたり、検事への証拠開示の義務付け、検事の不服申し立ての禁止、再審請求審・再審公判の手続きの規定作成が求められると訴えた。そして、袴田さんを再収監させない世論の形成と健康の維持を願い、再審無罪への取り組みを呼びかけた。
 集会では、市民の会による味噌樽での血液の変化、自白での30分犯行が不可能であることなどが示された。最後に、天竜林業高校事件で再審を請求している北川さんが支援を呼びかけた。