市立図書館での防災を口実とした自衛隊の展示及び自衛官募集の展示の中止を求める要請                         
 2020年10月末から、浜松市の流通元町図書館で「防災といのちを守る仕事 自衛隊」という展示がなされた。それに対し、以下の要請をおこなった。
                    

                                                               2020116

浜松市立中央図書館館長様

浜松市立流通元町図書館長様      

                                                人権平和・浜松

 市立図書館での防災を口実とした自衛隊の展示及び自衛官募集の展示の中止を求める要請

 20201023日から118日にかけて、市立流通元町図書館で「防災といのちを守る仕事 自衛隊」という展示が行われています。案内には、115日が「津波防災の日」であり、命を守る仕事について考え、自衛隊の活動を展示することが記されています。

 展示パネル6点は自衛隊の災害派遣の紹介が主です。御殿場の陸上自衛隊板妻駐屯地からの災害派遣の活動と共に、自衛官募集のポスター、「はぼあ新聞」(自衛隊静岡地方協力本部浜北募集案内所の勧誘新聞)や海自のインド洋派遣、空自の戦闘機などの写真も展示されています。図書紹介のコーナーの過半も自衛隊の仕事本です。さらに自衛隊静岡地本浜北募集案内所による子ども用塗り絵コーナーもあります。塗り絵は戦車、戦闘機、イージス艦、「はぼあちゃん」(浜北募集所広報官のゆるきゃら像)です。また、自衛官の募集案内も置かれています。

 このように市立流通元町図書館での防災に関する展示は、自衛隊の活動と募集で占められ、塗り絵による子どもへの勧誘宣伝もなされているのです。自衛隊の任務は国の防衛であり、災害派遣は活動の一つに過ぎないのですが、自衛隊の災害派遣が活動の中心のように示されています。館の担当者によれば、2年前から自衛隊浜松基地の航空祭に併せて展示をはじめ、今年は航空祭がコロナ禍で中止となり、このような津波防災の名での自衛隊展示をおこなったといいます。館員に自衛隊の航空祭による宣伝が内面化され、呼応し、図書館で無批判な展示をおこなっているようにみられます。

 市立流通元町図書館は市の外注政策により、指定管理者TRC(図書館流通センター)・遠鉄アシスト共同事業体による委託運営がなされています。委託運営のなかで、「防災といのち」を守るという仕事が「自衛隊」のみに限定され、公共図書館が自衛官募集活動の下請けのような活動を担うという状況が現出しているのです。

「図書館の自由に関する宣言」のなかに、「図書館の自由を守る行動は、自由と人権を守る国民のたたかいの一環である。われわれは、図書館の自由を守ることで共通の立場に立つ団体・機関・人びとと提携して、図書館の自由を守りぬく責任をもつ」という項目があります。ここでの自由とは権力の介入や社会的圧力に左右されないことを意味します。図書館の自由のためにも、展示への英知が求められるのではないでしょうか。

自衛隊については様々な意見があります。とくに近年の政府による2014年集団的自衛権行使の容認、2015年安保法の制定は、自衛隊の海外への派遣と戦争参加をすすめるものであり、それを憲法違反とする批判も根強く存在します。そのような自衛隊の問題を多角的に展示・紹介することは、市民の学習の場としての公共図書館の業務であると考えます。しかし、「防災といのち」を口実に自衛隊の活動を宣伝し、その勧誘につながるような展示を行うことを図書館の業務としてはならないと考えます。

よって、防災を口実とした自衛隊の展示及び自衛官募集の展示の中止を要請します。