1212女性国際戦犯法廷20周年シンポ

「女性国際戦犯法廷の判決・証言を未来にどう活かすか」

 20201212日、女性国際戦犯法廷20周年シンポジウム「女性国際戦犯法廷の判決・証言を未来にどう活かすか」がオンラインで開催された。

 シンポジウムでは、ウスティニア・ドルコポル(戦犯法廷首席検事)、阿部浩己(日本検事団)、李娜栄(正義連理事長)さんが講演した。また、日本軍「慰安婦」サバイバーの証言映像が紹介され、最後に、若い世代による歴史の継承活動が紹介された。

 ウスティニア・ドルコポルさんは法廷の意義を、犯罪に向き合わないという「不正義の記憶」を克服し、天皇などの指導者の責任者処罰を明示したことであるとし、草の根の女性の人権運動が日本軍「慰安婦」問題をグローバルな課題としたと評価した。また、女性戦犯法廷が、「慰安婦」の動員規模の大きさ、兵站業務の複雑さ、費用、政府官僚と軍高官の関与の事実から、天皇裕仁は「慰安婦」制度を認知し、それを中止する義務があったと判断したことを示したとし、今も日本の政治家や解説者のなかにある「慰安婦」制度に対する国家責任否定の動きを批判した。そして、一人ひとりが女性の平等を得る闘いに参加すること、その不正義を公然と批判する行動が「慰安婦」との連帯となると呼びかけた。

 阿部浩己さんは、この戦犯法廷は、植民地の人間への国際法の不適用、植民地への婦人女性売買禁止国際条約の適用排除、戦時での強制労働禁禁止条約の適用、戦時の個人被害に関する平和条約での一括処理、法の不遡及の原則というような問題を、新たな法解釈により脱構築し、人道に対する罪と奴隷制の法概念を使って、植民地支配下での犯罪行為を処罰の対象としたものとまとめた。阿部さんは、女性戦犯法廷は植民地主義の法的責任を問う契機を押し広げるものであったとし、いまが植民地支配それ自体の法的責任と正面から向かい合う責務を自覚すべき時、と訴えた。

 李娜栄さんは、女性戦犯法廷が性暴力被害の責任を被害者ではなく加害者に問うものであったとし、グローバルなフェミニズムの運動を受け止めての韓国社会での性暴力批判の運動と法制化の動きを紹介した。李さんは韓国での性売買や性暴力での被害者支援とその防止のための国家責任追及の動きの経過を示した後、2000年半ばからの水曜集会で使われるようになった黄色と紫の「ナビ(蝶)」のイメージは、慰安婦被害のうっ憤と哀悼のイメージから、希望と連帯へとイメージの変化を示すものと位置付けた。李さんは、女性運動の進展は性暴力に対する社会の視線を根本的に変化させ、性暴力を容認する文化の変革なしには戦時性暴力と性奴隷の問題は解決されない、未来世代にとっても、性暴力の2次被害の防止、再発防止の教育と加害者処罰、被害者の尊厳回復が重要とまとめた。

 このような基調報告の後、サバイバーの証言映像が示された。それは、日本軍占領下での女性への組織的暴力の深刻さを理解させ、片言の政治的文言では済まされないできごとであることを示すものだった。慰安婦の歴史の否定などは現実を無視した放言にすぎない。フィリピン、台湾、韓国、日本などの若い世代の発言は、忘れない、語り継ぐという思いを示すものだった。女性国際戦犯法廷から20年、今回の集会は、女性戦犯法廷の意義を再確認し、問題解決に向けて連帯の意思を共有し、今も続く心ない歴史否定の発言を克服することを呼びかけるものだった。 (t)