おススメ映画!

沖縄テレビ制作ドキュメンタリー映画

「サンマデモクラシー」を見たら

元気になるかも!

 

ここ数年胸の奥に汚泥のようなものがたまり続けていて、気持ちがすっきりすることがない。 理由ははっきりしている。 日本いや世界中にはびこる不条理、不正義、不平等そして多くの民衆の無力さ。 その上、まだ終わりの見えないパンデミックの襲撃。 

 

うじうじしていたある日サンマ裁判なる言葉を聞いた。 えっ!初めて聞いた。 それって何? 調べると1963年、沖縄で魚卸業を営んでいた玉城ウシ(以下ウシおばあ)が、サンマに税金がかけられているのはおかしいと、納税先の琉球政府相手に起こした裁判だということがわかった。 当時は米軍占領下で、サンマは日本から輸入されていた。 大衆魚のサンマだが、沖縄では戦後になって食べられるようになったという。 ウシおばあの行動力にはびっくりだが、監督の山里孫在さんは彼女の頭にはおそらく「民主主義」という意識はまったくなかっただろうと言っている。 おかしいと思ったから声をあげ、行動しただけというところがまさにあっぱれ。 だれにでもできることではない。 おばあの弁護士をかってでたのは、「ラッパ」と呼ばれた下里恵良、 さらに米軍にもっとも恐れられた男と言われた瀬長亀次郎もからみ、3者の物語が展開する。 

 

実はこの映画は、サンマ裁判を闘うウシおばあの生きざまに多くの時間を割いているわけではない。 裁判を軸にして、当時の沖縄が置かれた状況、「祖国」復帰を果たすまでの闘い、復帰後の米軍基地問題、特に今に続く辺野古基地建設問題など。 それら私たち一人ひとりに問いかけているテーマは実に重い。 映画で忘れてはならない登場人物がいる。 1961年から64年にかけて沖縄で絶大な権力を振るった高等弁務官キャラウェイである。 彼が述べた「沖縄の自治は神話だ」という有名な言葉がある。 沖縄の人々にとってはさぞかし屈辱的な言葉だったろう。 その60年あまり後、ちょっとニヤリとしたくなる後日談がある。 2015翁長知事は、就任後初めて当時の菅官房長官と会談した後、菅氏が再三使う「粛々と」という言葉を、キャラウェイの言葉と重なる、と批判した。 

 

この映画の楽しさは、ナビゲーターをうちな~噺家志ぃさー、ナレーションを川平慈英が務めていることにもあるかと思う。 川平慈英はもともとお気に入りの俳優だが、志ぃさーはお初にお目にかかった。 この映画ですっかりファンになり、いつかライブを聞いてみたいと思っている。 映画のレビューを読むと概ね高評価で、うれしいことに若い層からの感想も少なからず見受けられる。 映像の力に希望を感じる。 残念ながらまだ静岡県では上映予定がなさそうだが、シネマイーラではぜひ上映していただきたい。 最後に補足でもう一本おススメ映画紹介をして拙稿を閉じたいと思う。 924日からシネマイーラで第99代内閣総理大臣菅義偉の素顔迫った政治ドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」を上映する。 もうチラシが回っているのでご存知の方も多いと思うが、特に若い方に見てほしい。 これを見て多くの人が「選挙に行って、政治を変えなきゃ」という気持ちになるのではと期待している。                2021/9/11   E.