2021・12 浜岡原発再稼働の動き
浜岡原発は2011年5月、政府の要請を受けて、定期点検中の3号機を除き、4・5号機が停止した。すでに1・2号機は2009年に稼働を終え、解体が進んでいる。中電は再稼働を目指し、2014年から15年にかけて3・4号機の再稼働に向けて原子力規制委員会に適合性審査を求め、現在、審査中である。
2021年11月末、中電は南海トラフ巨大地震での想定津波の高さを、これまでの最大21.1メートルから22.5メートルに修正した。敷地に造成した防潮壁は22メートルであり、それを越える津波が来ると想定した。この想定修正は3・4号機の稼働を審査する原子力規制委員会・新規制基準適合性審査で示された。中電はこれを基準津波とするという。
現在の防潮壁よりも津波が高いと想定するのだから、かさ上げは不可避だ。
12月19日、御前崎市は浜岡原発重大事故での住民避難説明会を開催した。原子力災害時には放射性物質が放出される前に市の指示で全域避難するという。原発の単独災害では浜松市に、地震との複合災害は長野県に逃げる。移動が困難な人は市内の放射性防護施設に一時避難という。
放射性物質が出る前に長野県へと避難することなどはできない。これは机上の空論である。避難は無理であり、原発廃炉がもっと安全な選択である。
12月23日、中電は原子力規制委員会での審査状況の説明会を、御前崎市議会全員協議会でもった。浜岡原子力総合事務所長は規制委員会に理解を得るよう説明するとし、再稼働ヘの意思を示した。柳沢市長は全国原子力発電所所在市町村協議会(柳沢市長は副会長)として、24日に内閣府、経産省、原子力規制委員会に出向き、迅速審査を依頼するとした。再稼働にむけての要請である。
これは、早期の再稼働を求める中電、市議らの意向を受けての対応である。御前崎市は、国策を口実に原発への批判は一切行わず、経済的利権のために、ひたすら再稼働を求める行動に出ている。だが、3号機の稼働は1987年、4号機は1993年である。稼働してもすぐに40年目を迎える.原発の再建設などはあり得ないし、動かしても炉の寿命はすぐに来る。大地震と津波に原発は堪えられない。放射能漏れの前に長野県に避難できるわけがない。大地震と大事故になれば、東海道も遮断されるだろう。いまは、廃炉にむけてのスケジュールを立てるときなのである。
このような動きに抗して、12月31日金曜の夜、浜松市の駅前では原発再稼働反対!汚染水を海に流すな!と市民が声をあげた。