4・26奥間政則静岡講演「基地問題 沖縄だけの問題ではない」
2025年4月26日、静岡市内で静岡・沖縄を語る会の総会がもたれた。記念講演では、奥間政則さんが「基地問題 沖縄だけの問題ではない」の題で、次のように話した。
私は1965年に奄美大島で生まれました。1級土木施工管理技士の資格を持ち、土建の現場で経験を積んできました。
父は沖縄でハンセン病となり、強制隔離されて沖縄愛楽園に入れられ、その後、奄美和光園に移りました。戦後、奄美はアメリカ統治となり、園長はクリスチャンであり、患者同士の結婚も出産も認められていて、私が生まれたのです。愛楽園なら,断種や堕胎となりました。両親はハンセン病回復者ですが、そのことを私には語りませんでした。父は2012年頃から手記を書くようになりました。
2015年、私の人生を変えた出来事があります。愛楽園に交流会館ができ、そこで学芸員の方から証言集にある匿名で書かれた父の証言を見せてもらいました。そこには父の手記にはない出生やハンセン病から社会復帰してからの偏見・差別が記されていました。衝撃でした。父の家族への暴力は、国策による差別への怒りの表れであったのです。
もう一つ、2015年5月に辺野古新基地反対県民大会に参加しました。そこで反対の意思を固めました。1995年の少女へのレイプ事件が起きたときには米軍基地工事の現場にいたのですが、基地問題には無関心でした。大宜味村の同じ集落に住む闘う農民、儀保さんに誘われ高江のヘリパッド建設反対の座り込みに参加するようになりました。
ハンセン病者の強制隔離と沖縄戦と基地の押しつけはともに国策によるものであり、差別の構図は同じものであると思いました。生まれて50年の節目の2015年に、私の人生は一変し、国策との闘いをはじめたのです。
私はドローンを利用し琉球弧での軍事基地拡大の実態を明らかにしてきました。政府はドローンに対して規制法をつくり、監視の目を奪おうとしています。けれども私は技術者ですので、GPSなどを利用し、パソコンに規制範囲を設定して、監視されても撮影を続けています。辺野古で建設中の弾薬庫の写真を撮ったのですが、専門家は核貯蔵用とみています。基地問題については土木技術者として辺野古の工事の問題点を指摘してきました。辺野古では埋め立て承認を撤回させることが必要ですが、工事現場で濁り水が発生している状況を撮影しました。水質汚濁問題では、政府の側はシミュレーションで方程式の改ざんしていると専門家は指摘しています。
土地規制法に関しては政府のホームページに全国各地の「注視区域」「特別注視区域」を示しています。規制法で市民を萎縮させ、抗議の声を潰そうとしています。沖縄も日本もアメリカの植民地の状態です。いま日本政府は再び沖縄を戦場にしようと軍拡をすすめています。沖縄だけの問題ではありません。全国で基地の強化が進み、住民の避難計画まで示しています。オール沖縄は辺野古の問題での組織であり、自衛隊問題には対応できない状態ですが、沖縄ではうるまで陸自の訓練場の設置を住民の結集で撤回させたり、港湾では港湾労働者がストライキをしたりと抵抗しています。PFAS汚染も大きな問題になっています。
昨年の6月の沖縄での政府による追悼式典では「米軍基地も自衛隊基地もいらない!」と沖縄言葉で抗議の声をあげました。私はヤマトのメディアが報じない実態を全国各地で講演して訴えています。 (t)