6・12 光州で強制動員歴史館建設の討論会

2025年6月12日、韓国の光州市議会で「光復80年 植民地歴史の記憶継承方法」をテーマに討論会がもたれた。この会は強制動員の歴史を展示する歴史館の建設を目指して、光州の日帝強制動員市民の会の主導で設定された。

討論会では、鄭恵瓊が植民地支期の遺跡保存、李国彦が光州の鐘紡工場への動員状況、廬サンテが日帝強制動員市民歴史館の建設について発表し、洪ジンサン、朴スギ、チョンウンスンが意見を述べた。

ここでは、日帝の戦争遺跡を平和教育の場として活用する意義、歴史館建設の必要性、太平洋戦争被害者光州遺族会史料の意義と保存などが示された。李国彦は光州にあった鐘紡工場への強制動員について説明した。朝鮮人労働者は2500人ほどであったが、日中戦争が始まると、全羅道各地から13歳ほどの子どもたちを甘言で強制動員した。動員者の証言も紹介された。

私も参加したが、意見を求められ、つぎのように発言した。

こんにちは。皆さんの討論に敬意を示します。歴史研究者で、3年前から全羅南道からの強制動員について、光州の市民の会の事務所で太平洋戦争被害者光州遺族会の資料を閲覧して研究しています。また、研究成果を市民の会に提供しています。

光州には太平洋戦争被害者光州遺族会の光州千人訴訟と日帝強制動員市民の会による三菱との裁判への支援活動の資料が残されています。被害者やその遺族が高齢化する中で強制動員の記憶と尊厳回復の活動を継承するための方法が求められます。日帝強制動員市民歴史館の建設はそのための手段の一つです。

光州遺族会の会長だった李金珠氏が収集保管してきた遺族会1300人ほどの資料は裁判での訴状や陳述書類などを中心に日本による強制動員被害の実態を示す貴重なものです。李金珠氏は亡くなりましたがその思いは埋められることなく、継承されています。また、市民の会の資料は、この遺族会の活動を継承し、2018年の大法院判決獲得からその判決の実現を目指す市民活動の歴史を示すものであり、植民地主義の克服を目指すものです。

これらの資料を整理・展示し、市民の財産とする作業は、植民地支配に抵抗し、その被害、尊厳の回復を目指す活動を市民社会が共有することです。総じて、植民地主義の克服、人権と平和の実現、それを基礎とした国際友好の実現をめざすものです。

この歴史館がその拠点として活用されることが求められ、今回の討論会がその一歩となることを期待します。強制動員については真相究明、尊厳回復、記憶の継承が未解決のままです。いま、世界が植民地主義と人種差別、権威主義を克服できずに、戦争を拡大するなか、光州での植民地主義克服の活動とそれを示す歴史館建設が、進行する「光の革命」を受けて、強制動員問題解決に向けての力となることを望みます。(竹内)

光州MBC の報道  https://www.youtube.com/watch?v=HEiDyqlIQjE