沖縄の旅 2007年春

● 辺野古

辺野古は大変静かでした。波も静かで、太陽も適当に照り、Tシャツ1枚で十分。穏やかで、時間さえあれば昼寝をしたかった。

「命を守る会」のテントも静かでした。これを「嵐の前の静けさ」と言うのでしょう。「4月になったら何かやってくるだろう」と、現地の人のみならず、辺野古に関心のある沖縄の人は皆、そう考えているようでした。4月1日(日)座り込み1078日目の午後のことです。テント内で「沿岸案の闘いの終盤は、むこうはもう本気ではなかった。でも今度は政府も本気だから」と言うときには語気が変わりました。

高文研から文浦島悦子、写真石川真生の大人向け絵本『シマが揺れる』が出版されています。辺野古のたたかいがわかり易く記されています。

●「風の里」

 「風の里」の高江洲さんは本当に強くて明るくて元気な人だと、改めて感心させられました。知事選が敗北に終わってしまい、燃え尽きたようなときがあったのかもしれないのですが、元気な顔に会うことができ、安心しました。

期日前投票のことや企業ぐるみ投票のことなど、選挙の敗因については『世界』や『けーし風』で詳しく論じられています。ここではもう一つ、「○○会員の人たちが知事選を見越して相当数、沖縄に移住してきていた」という話を聞きました。法律には触れないにしろ、こんなことが起きる国が民主国家といえるのでしょうか。

「知事選には負けてしまったけれど、近くの人たちとの繋がりが強くなってよかった。選挙中も、ガンバッテ、応援してます、等々、声をかけてくれ、選挙が終わってからも、糸数さんと高江洲さんを招いて、風の里でごくろうさん会を開いてくれた」と嬉しそうに話してくれました。糸数さんは次の参院選に出馬するとのことです。

●映画『ひめゆり』

 教科書検定によって、「集団自決」(集団強制死)が日本軍の強制によるものであったことが、教科書から消し去られようとしています。それがいま、沖縄では大きな波紋をよんでいます。沖縄タイムス、琉球新報などの新聞紙上では、毎日大きなスペースを割いて報じられていました。目取真俊氏は「これは沖縄に対する挑戦だ」と怒りを爆発させていました。どの記事を読んでも「沖縄県民よ、怒れ!!」という論調でした。

そのような状況の中で、柴田昌平監督の長編ドキュメンタリー映画『ひめゆり』が那覇市の桜坂劇場で上映されていました。この映画は「ひめゆり学徒隊」の生存者22名の証言の記録です。柴田監督が1994年から2006年までの13年間にわたって撮った記録は100時間を超えるそうです。監督はかの女たちとしっかり向き合って1つずつ証言をとり、かの女たちの背景にあるものをじっくりと引き出しています。また1フィート運動のフィルムを効果的に織り交ぜ、わかりやすく歴史を構成しています。2時間10分、かの女たちはただ淡々と語り続けます。

この映画は、歴史をねじ曲げることが好きな人たちに「真実をしっかり見つめなさい」と諭しているように、私には見えました。静かでありながら、重く力強い映画でした。                                   

(池)