京都の旅 02.12

2002年の12月に京都に行き、立命館大学の平和展示館,高麗美術館、古寺や山々を訪れました。その折、DERRILLさんの話を聞く機会を得ました。以下紹介します。

「9.11」テロ平和遺族会

Derrill Bodleyさんの話 12/7京都

デリル・ボドリーさん。ジャズピアニスト、州立サクラメント大音楽教授。昨年の「9.11」テロで、ユナイテッド航空の客室乗務員だった娘のデオラ・ボドリーさん(20歳)を亡くされました。今年の1月、サンフランシスコのNPO「グローバルエクスチェンジ」企画の、遺族のアフガニスタン訪問に参加した後、遺族の平和団体「ピースフル・トウモロウ」の立ち上げに参画。現在平和運動に関わっています。

作曲家でありジャズピアニストでもあるデリルさんは、講演に先立ち、昨年の「9.11」以降作曲した3曲のピアノ曲を演奏しました。1曲目は昨年9月13日、つまり「テロ」で愛娘を亡くしたその2日後に作曲したもので、タイトルは「平和への歩み」。娘のデオラさんにささげられました。美しく、また力強い曲で、大きな悲しみに打ち勝とうとする決意・希望を歌っていると思いました。

デリルさんには娘が次のように言う声が聞こえてきたと言います。 

‘Don’t worry、daddy.It‘s okay. Just do the right thing.‘(パパ、心配しないで。大丈夫よ。正しいことをやってね。)

2曲目はその1年後の作品。タイトルも‘One Year Later’(「1年後」)。この作品は、前作とはうって変わって不安に満ちたものでした。3曲目は1970年代のジョン・レノン風の作品で ‘Each To Give’(「互いに与えあうこと」)。悲しみや不安を乗り越え、憎しみや争いを止める勇気を持つことの大切さを、ピアノ伴奏に乗せて明るく元気に歌ってくれました。

デリルさんは「テロ」で娘さんを亡くされましたが、「テロリスト」への憎しみではなく、どのようにして平和な世界を築いていったらよいのかを、ご自分の言葉で熱く語ってくれました。

「平和な世界を築くために必要なこと」

 1 全ての人々が、全ての人々を尊敬し愛すること。

 2 一人一人が心の中に平安をもつこと。

 3 世界を世界中全てのものの間で分かち合うこと。

 「9・11」はこれらのものが欠けていたから起こったのだとデリルさんは言います。力のある者が自分のことだけを考え、富を独占し、他を省みない。この不公平な状況こそが「9.11」の原因だと言うのです。しかし、アメリカはアフガニスタンを空爆して多くの犠牲者を出し、更に軍需産業と石油のためにイラク攻撃を始めようとしています(「1年後」はこの状況に対するデリルさんの気持ちを表したものでしょう)。「それでも」、とデリルさんは言います、「一人一人が小さな変化を生み出す主体だ。行動をやめてはいけない。日々小さな違いを作り出そうとすることが大切なのだ」(Keep doing a small change constantly. You are the one who can do this. Don't stop action.)

 今年の9月11日、ペンシルバニアでの1周忌の集会に来たブッシュ大統領にデリルさんは直接こう語ったそうです。"President Bush. Don't go to Iraq. You are wrong."(ブッシュ大統領。イラクへ行ってはいけません。あなたは間違っています)と。

                                        (井)

 

Each To Give

人は誰かを傷つけると

いつか自分も傷つくもの

でも分かり合えば、平和は

全ての魂に宿るでしょう

互いに与え受け止めて

信じて生きていくこと、それは・・愛

Each to give, each to receive.

Each to live and believe in love.

力と平和の意味を分かり合い

戦いを止める勇気を持とう

それは長い闇を通り抜け

輝く明日への、旅路

互いに与え、受け止めて

信じて生きていくこと、

互いに与え受け止めて

信じて生きていくこと、それは・・愛

・・愛